2010/02/25

天才は結局勝ち続ける。




SPの結果を見て驚く真央ちゃん。
ジャンナ先生の彼女の太ももに手を添えているところに
真央ちゃんへの愛情を強く感じます

今日はあまり眠れない気分なのでwww

かなり遅いですが日記更新を。


えらく素直だなと思いました。

浅田選手のSPを終わったあと、一瞬キムヨナが映ったのですが、
そのとき『やるじゃん、マオ』と鼻で笑ってたんですよねwww
すげー神経だな~と思いました。

でも、やっぱり内心は動揺していたんですね。

彼女のSPは浅田選手以上に慎重でした。
あの爆age高得点に惑わされがちで、
彼女の本当の演技が見えなくなってしますが、
冷静に分析すると、いくつか細かいミスがありました。
いつもよりも生彩を欠いていたし、ジャンプもキレがなかった。
明らかに3-3は回転不足だったし、
フリップも正直危なかった。
たぶん気づいた人はあまりいないようですが、
ステップでつんのめったんですよね、一瞬。
たぶん本人もヒヤッとしたと思います。
ですが、精神力でなんとか乗り切ったという感じでした。

点数を出ても喜びもしなかったのは、
たぶんあの点数が出ることを『知っていた』からだと・・・。
こんな出来レース、見てるこっちのほうがしんどいです。
プルのことがあってもうあきらめていますけれども、
ここまで露骨にやられたらもう笑うしか・・・

ただし、想定外のことがひとつだけ起こりました。
浅田選手があそこまでの高得点を出したこと。
3Aを成功させたこと。
内心自爆を望んでいたのに。

何度も述べてますが、ここが『穴』です。

これでフリーはできるだけノーミスで滑りきらなくてはならなくなった。
キム選手はフリーをノーミスで滑りきったことはない。
これはかなりのプレッシャーです。

彼女、実はフリップをSP・FPの両方でそろえたことがないのです。
SPで成功したら必ずFPですっぽ抜かす。
さらに残念なことには、
仮にフリップを成功させても、今度は後半のサルコウまでは体力が持たない。
だから、サルコウも抜ける。
必ずどちらか一方はジャンプが抜ける。
これはほぼお約束です。
たぶん明日のフリーもそうなると思います。
昨日のSPが成功したので、フリップはだめだと思います。
(でも、五輪は異常にエラーを取られていないので、
飛べば認定するかもしれませんが)。

5点差は彼女にとっては悪夢です。
なぜなら、浅田選手は10点差でも逆転したことがあるのですから。
キム陣営の戦略は浅田選手との10点近くの差だったはず。
それが、約5点差にしかならなかったのは、大きな誤算だったかと思います。
それが素直に出たのが、この感想だったと思います。
一昨日の公式練習からしきりに浅田選手を気にしてました。
たぶん彼女が予想以上に好調なので、内心ではかなり動揺していると思います。
事前の金メダルの何らかの保障があるので、かろうじて己を保っているという感じ。
少なくとも、彼女の浅田選手への態度はそう見えました。

まあ、でも、ジャッジは彼女を勝たせる気満々なので、
たぶん135~140点は出るんじゃないでしょうかね。
ですが、仮にこの高得点が出て浅田選手がノーミスをしたら?
それでも、浅田選手には141点あげて銀メダルにするでしょうね。
理由は簡単ですよ、プルシェンコと一緒です。
高難度の技を決めても、技のできばえ(GOE)を低くくすればいい。それだけです。
昨日のSPのGOEを見ても
たぶん浅田選手の3Aにはほとんど加点は付かないでしょう。
去年の世界選手権と一緒。ショートの貯金で逃げ切り。

キム選手、金メダルおめでとう!(*´∀`)o∠☆゚+。*゚PAN!!★゚+。*゚ございます


だけれども、なんだろうな。

キムヨナを見ていると、
どうしても『ガラスの仮面』の姫川亜弓を思い出してしまうんだ。
姫川亜弓と北島マヤが、全日本演劇大会だっけ? 
あれに出場したときのストーリーを。
確か姫川陣営は、演出家の小野寺の策略で北島陣営をつぶそうと妨害をする。
その結果、マヤ以外の俳優はみな出場できなくなるのだが、
しかし、マヤはひとりで演技をすると、一人芝居を敢行。
見事演じきり、観客投票で1位を取る。
ところが、審査員たちの審査の途中小野寺が異議を申し立て、
審査結果が覆り、姫川陣営が1位を取り、北島マヤは失格となる。
だが、姫川亜弓の顔はどこか晴れない。
かたや、北島マヤは号泣するも多くの観客に励まされることになる。
このストーリーといまのキムヨナがなぜか重なってしょうがないんです。

昨日のSPで、観戦していらした現地の人が
浅田真央の演技にはスタオベの嵐だったのに、
キムヨナの演技は拍手もまばらで歓声もあまり聞かれなかったそうです。
ジャッジは恣意的ですが、観衆は正直で、素直です。
いいと思ったものには惜しみない賞賛を送る。
この声援を聞いて彼女はどう思ったでしょうか。

テレビでアナウンサーの刈屋さんが
キムヨナが『浅田真央はもう一人の私』といっていたそうです。
私は、彼女がそのように考えている限り、
キムヨナに真の勝利は訪れることはないなと思いました。
彼女はものすごいコンプレックスを浅田真央に感じているんでしょうね。
正直、浅田真央になりたくてしょうがない。
浅田真央が持っているものを手に入れたくてしょうがない。
しかし、どんなに浅田真央が持っているものを手に入れても
いちばん欲しい『才能』は手に入らない。

天才に勝つためには、何度も述べましたが、死力を尽くすことが必要です。
ヤグディンがプルシェンコに勝てたのは、まさに死力を尽くしたことと、
どうしても消えることのなかった自分の中のプルシェンコという影を
己の実力で消し去ったということなんです。
ヤグディンはソルトレークのとき、別に大技を入れなくても勝てたのに
タラソワの制止も聞かず、FPで4-3-2を飛び、見事成功させました。
4-3-2はプルシェンコそのものです。
このコンビネーションは当時は彼しかできなかったからです。
しかし、ヤグディンはプルシェンコと同じ技を成功させることによって、
プルシェンコと並び、打ち勝ったのです。
実力は実力で勝つ。
だからこそ、ヤグディンは天才をも一目置く選手だし、
プルシェンコの永遠のライバルなのです。

キムヨナも3Aをあきらめず、やりつづけるべきだったのに。
たとえ腰が打ち砕かれても、3Aを習得すべきでした。
そうすれば、たとえ後の競技人生が失われたとしても、
『真の勝利』を手に入れることができれば、
浅田真央の影から抜け出すことができたのに。
しかし、彼女は結局、楽な道を選んだ。
確かにいまのシステムにのっかかることによって
彼女は最強の選手になりはしましたが、
真の意味では、浅田真央の影から逃れたわけではない。
逆に、逃れられなかったことにより、永遠の苦しみをもたらすと思います。

これから先、彼女は金メダルを持っていても、
一生自分を正当化し続けなければならない。
確かに技はマオのほうが上だったかもしれないけれども、
点数は自分が上だっだといいきかせながら。
そして、それがどんなに虚しいことか若い彼女にはまだ分からない。

さらに点数というはかなく脆い記録は
採点制度の改正でいくらでも変わる。
もしキムヨナの最高点を破る選手が
おそらくそう遠くはない日に現るかもしれない
(特に白人の有力な選手が現れたときは)
そのとき、彼女はどうなるのでしょうか。

もしかしたらもうすでに分かっているのかもしれない。
たとえ表面上勝利しても、
周りの現役の選手たちは誰も彼女を賞賛しない。
EX練習のあのハブられっぷりは
まさにそれを象徴しているような・・・。
選手も馬鹿ではないですから、誰が本当にすごいか分かります。


映画『アマデウス』でサリエリが
「自分がどんなにたくさんの栄誉やメダルをもらっても、
(生前栄誉を与えられることなく亡くなった)モーツアルトの音楽は廃れることなく、
ますます有名となり、逆に自分の音楽は誰にも聞かれることなく、
歴史から忘れ去られていく。それは『拷問』だ」
と嘆くシーンがあります。

天才はどんなに打ちのめされ、否定されても、
観衆はその存在を見抜き、見出され、
永遠に失われることなく、
逆に、さらに輝きを増し続けるのです。
死後200年以上経ってもいまだに聞き続けられているモーツアルトのように。
たとえOPの金メダルがキムヨナであっても、
3AをSPでいちばん最初に入れた浅田真央の名前を世界は忘れないでしょう。
ライサチェックの名前は忘れられても、
世界で最初に4-3-3を成功させた人の名前は覚えているでしょう。

たとえどんなに高い点数をもらっても、天才の功績には及ばない。

『凡人が天才に勝つシステム』
そのシステムが引き起こす本当の悲劇を誰も知らない。