2010/03/01

ロシアVSカナダ 1990年以降の男子シングルの歴史から探る③



《続き》

チャンはもともとアイスダンスを志向していただけあって、
スケーティングがとてもうまかった。
また新採点システムに対応して、
エッジの使い方が深く、
ターン系のステップを取り入れてもすごくスムーズに滑る。
実際あれだけのつなぎをプログラムに入れても、
ジャンプはたびたびこけますけれども
でも、それなりにまとめられるのは彼の実力でしょうね。

また、彼はバンクーバー以降の
カナダ人有力選手として育てられてきている純粋培養種。
だから、ある意味、おバカwww
ジュベやプルにバカな発言をしていろいろと物議をかもしていますが、
同時に、カナダ人が何を考えているのかもチャンの発言を通してよく分かります。
いっつもチャンは連中に吹き込まれているのでしょう。

「プルシェンコは昔はすごいスケーターだったかもしれないけど、
彼はもう年だし、それにスケーティングスタイルも古い。4回転が飛べるだけ。
でも、パトリック、君は違う。君は新しい採点システムの申し子だ。
次世代の金メダリストなんだ」とか云々。

チャンは何も考えずにそのまま受け取って、マスコミに発言しているだけ。

とにかくチャンをバンクーバーで金メダリストにするためには、
お膳立てや根拠が必要です。
まずルールをよりチャンに有利に変える。
『フィギュアスケート』という雑誌で、
日本人審判(たぶん平松純子氏だったと思います)が
インタヴューに答えていましたが、
去年の世界選手権で、
つなぎの多いプログラムを滑っている選手には
高い演技点をつけるようISUから通達が来ていたそうです。
これはまさにチャンの得点を挙げるための対策です。
チャンのPCSが異常に高いのも、この通達のせい。
実際チャンのプログラムは鬼つなぎのプロですから、
まあ点が出るわ出るわ。
それを皮切りに、4大陸で銀メダル、世選で銀メダル。
考えてみてください、男子シングルにはジンクスがあります。
前年の世界選手権で優勝した人はOPでは優勝できないと。
まさに、ジンクスどおりのお膳立て。
あとはチャンがもっとジャンプを練習して、3Aを二つそろえること。
それさえできれば、後は怖いものなし。
バックにはカナダがついてるし、ISUのジャッジも味方。
開催地はバンクーバで、思いっきりホーム。

チャンの、カナダ人初の金メダルはすぐそこにあるかと思われました。

もうロシアに有力な選手はいません。
自分たちに立ちふさがる壁はないのです。
今度こそ、今度こそ・・・

しかし、ロシアの『巨大な壁』はたやすく崩れることはなかった。
それどころか、史上最強のロシアの壁が
ふたたびカナダに立ちふさがることになります。

プルシェンコの復帰です。

はじめ、カナダ人は彼の復帰を鼻で笑いました。
なんだ、プルシェンコなんてもう古いじゃん。
年だし、3年間競技に出ていない。私生活はスキャンダルだらけ。
戻ってきたところで何ができる。チャンの敵ではない。

確かに彼らが一笑に付すのも分かります。
一度引退して(彼は引退してはいないのですが)、
また競技に復帰してオリンピックに出てもメダルを取った人は
まだだれもいません。あのOP二冠だったカタリーナ・ビットでさえ、
復帰後のOPは入賞どまりでした。
きっと、プルシェンコも他の復帰者と一緒さ、彼らはそう思ったでしょう。

しかし、プルシェンコは並みの人間ではありません。
まさにソヴィエト・システムが生んだ最後のエリート。
精神構造も肉体も他の人間と次元が違うのですwww

プルシェンコは、カナダの思惑をあっさりと乗り越えて、
復帰後最初の競技である、ロステレコム杯で優勝します。
そのあと、怪我に悩まされますが、
年が明けてヨーロッパ選手権でも優勝。
前人未到の6度目の優勝を果たします。

これはさすがにカナダもあせったと思います。
まさかプルシェンコがここまで完全に復調してくるとは思わなかったからです。
彼らはすぐにチャンに4回転を入れるよう指示し、
さらにつなぎの多いプログラムを練った。
しかし、もともと3Aを二回そろえることさえままならないチャンが、
4回転など飛べるはずもありません。
逆に、足を痛めてしまい、計画は頓挫。
ここでチャンの金メダル計画はあきらめなくてはいけなくなりました。

それでも、カナダは全てをあきらめたわけではありませんでした。
金メダルはダメでも、他のメダルならば取れるはず。
とにかく3Aさえ決まれば、台に上げる。
それが、あのチャンの、バンクーバーでの異常な爆ageだったんだと思います。
あれだけのお膳立てをしたにもかかわらず、
それでもメダルには届かなかったのは逆に皮肉ですが。

ただ、もしプルシェンコが復帰していなければ、
チャンは銅メダルを取っていたかもしれない。
いや、もしかしたら高橋選手を上回って銀だった可能性もある。

いずれにせよ、プルシェンコがある意味『重石』の役割を果たしたことは確か。
男子が女子ほどは露骨ではなかったのは、
どうあがいてもプルシェンコの4回転の威力には勝てなかったということでしょう。

しかし、プルシェンコはそれでも金メダルは取れなかった。
それはなぜか。
プルシェンコに金を取らせたくないという勢力が、
別のところで、工作をしたためでしょう。
以前にも載せましたが、田村明子さんの記事に真相が書かれています。

また、このような記事も。

今大会では開幕前から
「休んでいた選手がいきなり優勝していいのか」というムードが漂い
「演技点を出し過ぎた悪い例」という審判の研修用DVDには
当初、トリノ五輪でのプルシェンコの映像が入っていた。
ロシア側の抗議で最終的には削除されたが、
この日の演技点は82・80点。
ライサチェクと同じで日本の高橋(84・50点)を下回っている数字に、
ロシア側は違和感を抱いた。
(スポニチより)


ライサの金は偶然にしかすぎません。
ただアメリカ・カナダの思惑としては、
プルシェンコ以外の人間ならば誰でもよかったと。
でも、『ロシア人』だけには絶対に取らせたくなかった。
だから、ライサを利用してプルシェンコを下げたのだろうと。

最近いろんな方のコメントをいただくのですが、
ライサもカナダの暗黒面に落ちてしまったようで、
いろいろといっているようですね。
もしかしたら、北米はチャンの金メダルが不可能なのを知って、
ライサの金メダル計画に切り替えたのかもしれませんよね。
なんといっても、彼の後ろにローリー・ニコルがいて、
彼女の後ろにはアメリカのジャッジがいたわけですから。

実際、プルシェンコのSPでチャンよりも20点近くも低くつけたジャッジがいます。
その二人のジャッジの点数が抽選でカットされなかった。
あとランダムでとかはいいますけれども、
誰を抽選して、誰をカットするかなんて、そんなこといくらでも操作が可能です。

個人的にフリーはライサが上でもしかたがなかったかと思いますが。

結局、プルシェンコは北米の悪意に負け、
カナダは金メダルは逃したものの、
プルシェンコの金は阻止したといえるのです。

*+☆+*――*+☆+*――*+☆+*

なんでこんなことを長々と書いたのかというと、
カナダが今回のOPで男子シングルの金メダルをまたしても逃したからこそ、
オーサーにはなにがなんでも金メダルを! という思いを強くしたのかなと。

オーサーは、私たちの想像もつかないような、
カナダにとってはまさに『悲劇の英雄』なのでしょう。
この英雄に金メダルを上げて、22年前の雪辱を晴らしたい。

キムヨナの金メダルはオーサーの金メダルであり、
またカナダ人悲願の金メダルでもあったのかなと。


5 件のコメント:

るみ さんのコメント...

こんにちわ、色々と拝見させて頂いています!

昨日のEX、プルシェンコは「さあ、4回転なしのアイスダンスだよ~」って最後の決めポーズで抗議していたのでしょうね!

でも、EXのプルシェンコ素晴しかったですね。
本番の経験数が増えるにしたがって、勘を取り戻している気がするし、体型もどんどんシャープに!

よく考えたら、金だったら引退してたプルシェンコが銀だったためにこれからも彼の演技を観続けることができるのですよね♪
少し前向きに考えることができそうになってきました!

KIA さんのコメント...

こんばんは。初めてコメントさせていただきます。

いつも適確で分りやすい内容にうなずきながら拝見させていただいています。

バンクーバーOPに仕事で行っていた友人からの聴いた話では、アイスホッケーでもロシアはカナダの仇敵だそうで、ロシアに勝った時は、街はお祭り騒ぎの大興奮状態だったそうです。

その話を聞いた時から、プル様も真央ちゃんやられそうだなと嫌な予感がしていたいたのですが、現実になりました。。

今後は、本当にプル様と真央ちゃんの合同練習が実現すると良いですね~!

匿名 さんのコメント...

プルシェンコ選手が真央ちゃんのコーチになってくれたら良いな・・・。と復帰の記事を読んだときから思っていました。
まさか・・・とは思いますが、実現しないかな。
男子シングルで4回転を成功させた北欧の選手がスケーティングもすごくじょうずだなと思っていたら、「プルシェンコと一緒に練習している」と実況の担当が言っていました。

匿名 さんのコメント...

ブックマークをして、いつも更新を楽しみにしています。

今回のOPは、あんなに実力の差がはっきりしていた男子の場合、僅差の評価となったのに、
大して実力の変わらない(?)女子では、大きな点差がついたことは、本当に納得がいきません。

キムヨナの回転不足は、足元ではなくて、降りた後の軌跡ですぐに分かるのに、、、と歯痒い思いで見ていました。シーズンを通して。

プルシェンコは、リズム感と音感もあるから、よりよいですよね。この辺りは、高橋選手やジョニーウィアーもそうかなと、思います。

hender(mako) さんのコメント...

るみさん、コメントありがとうございます。

私もプルのEX、見ました。
やっぱプルはエキシですよね。
あの演技を見て、新採点システムは来るの魅力をつくづく奪っているなあと。

KIAさん、カナダとロシアは仇敵ですからね。特にソルトレークでのペア事件は、大スキャンダルでしたから。

今回のプルと真央ちゃんも、ロシア側の人間だったために潰された感じがありありですものね。

匿名さん、こんにちわ。
4回転を成功させた、スウェーデンの選手ですよね。確かミーシンのキャンプに参加したんですよね。

真央ちゃんは4回転の前にルッツや3-3をやらないと…。
プルとの合同練習はいいと思いますけど、
テクニカルなコーチは短期でもいいから、
ミーシンに習ったほうがいいかもしれませんよね。
もともとプルと彼女は似たジャンプを跳ぶ選手だし。

匿名さん、はじめまして。
わざわざブックマークをしていただいて読んでいただいているとは…
本当に恐縮です。

キムヨナの回転不足はジャッジの目には見えないんでしょうね。ないものとみなされていますから。
政治の力は恐ろしいです。

プルのあの音感は驚異的ですよね。
いっつも足元から音楽が聞こえてくると驚嘆しております。