2009/07/19

真の天才とは?~エフゲニー・プルシェンコを見る ちょこっと脱線②の2~


《甘くはない復帰への道―天才・プルシェンコの不幸》

(下の続き)

せめてもう一シーズン前に復帰していたら、と思わずにはいられません。

もちろん怪我のことをわかった上なのですが。

なにせ時間が足りない。
相当密度の濃い練習をしなければ、「遅れ」を取り戻すことはむずかしい。
ほかの人にとっての一日の練習が
彼にとっては何十日分の練習に匹敵するわけですから。

それに、ひざのこともあるわけですし、無理をすることもできない。
慎重に、しかし、たくさんのことを取り戻していかなければならないわけで、
これは非常に大変な作業だと思います。

本当につらいことですよね。


プルシェンコにとっての不幸とは
自分の才能を開花させるために
己の肉体を犠牲にしなければならないことです。

しかも、その才能が発揮できるのは人生のひと時でしかない。

彼の才能は疑うべくもありませんが、
その代わり、大きな代償を伴います。
怪我、肉体の損傷、などなど自分の健康にかかわってくることすべてです。

この辺が、モーツアルトとは違うところです。

モーツアルトなど音楽や絵画に携わっている天才は、
肉体ではなく、頭を使うものですから、
それほど代償を伴わなくてもすむわけで、
また死ぬまで続けられるわけです。
(もちろん長い人生のなかでスポイルされて
才能を枯渇させてしまうこともあるわけですが)

親族が「復帰」に反対していたのもうなづけます。
下手をすると、歩けなくなってしまうかもしれないんですからねえ。
より平穏に、たやすく暮らしてほしいという気持ちも十分わかるわけです。

そして、彼のモチベーションのあり方にも。
恋人にいいところを見せたくて復帰するわけでしょう、ぶっちゃけ。
「子ども」のためならまだしも。
そういうところでしか、モチベを発揮できないところにも問題ありですよね。
ハングリーさという点でね。

だって、たとえばジュベールはまったく違うわけでしょ。
彼にとってバンクーバーは最後のオリンピックになるはず。
どうしたってメダルを取りたい。
過去二回のオリンピックでメダルを取れずに終わっていることからも、
メダルへの渇望はほかの選手よりも断然強いわけで。

この強力なモチベとどうやってプルシェンコは闘っていくのか。
プルシェンコ自身にも死ぬほどメダルを取りたいと思っていた時期はあるはず。
そのことを誰よりも知っている本人が、ジュベールと対峙したときどう感じるのか。

それに、プルシェンコはみなが思うほど精神的に強くはないですから。
特に大きな大会で、最初の金メダルを狙うときは
必ずといっていいほど失敗してますから。
2000年の世界選手権しかり、ソルトレークしかり。



それにしてもねぇ、どうしてこう…
まあ、そういう面も含めて
彼のことを天才だと思うし、好きなんですけれども、
とにかく女運が悪すぎ (((=ω=)))ブルブル

どうしてああいう恋人しか選べないのか。

ロシア一の英雄なんだから、それこそよりどりみどりなのに、
なぜかいちばん悪いところを選んじゃう (;^ω^A

モーツアルトも、ソクラテスも悪妻持ちで有名でしたからねえ。
ま、その道しか知らない人にとっては悪女は魅力的なんでしょうけれども。


素人が見たって、「金」ほしさゆえに復帰を促したことはわかりますよ。

恋人にとってはメダルなんてどうでもいいんですよ。
ようはもういちど話題になって、たくさんのスポンサーがついて、
CMやらテレビなんかに出させて、金が入ってくればいいわけで。

わたしにはそういう「魂胆」が透けて見えてたまらないんですが。

プルシェンコを影で支えたけなげな女というすばらしい自身の評判まで
手にいれられ、さらには、かつてのスキャンダルな側面はすべて帳消しにされる
という最高のオプションもつくわけですからねぇ。

ほかのファンの人はそういうところは見ないんですかね。
「逆玉」だって無邪気に盛り上がってますけど。。。

だって、いまのロシア経済ってどういう状態か知ってますか。
壊滅的な状態ですよ。

今FXをやりたくて、経済を勉強中ですが、
ロシアの経済はある意味アメリカや中国以上にヤバい・・(´Д`;)。
資源バブルが崩壊して、株価が72%も下落したんです。
72%ですよ、中国でさえ65%だったのに。
株価が半分以上も下落したとなれば、
いま手持ちの株はほとんど紙切れ状態でしょう。

ロシア人っていうのは、けっこう株で資産を持ってますから。
彼らのふところがどれだけ打撃を受けたか想像に難くはないはず。

しかも富裕層の資産の目減りっぷりはハンパじゃない。
オルガリヒ(新興企業家)たちの資産はすべて半分以下になってしまったそうです。
あの有名な石油王・アブラモビッチも
187億ドルあった資産が51億ドルまで下がってしまいました。
ウィキペディアにも、オルガリヒの壊滅的状況が記されています。


2007年から始まった世界金融危機で、現在多くの新興財閥が没落の危機に瀕している。

石油やガスなどの資源頼みの経済は、産業構造が非常に脆弱で
ほかの国が不況に陥るとよりダイレクトにダメージを受けてしまうんです。

ましてや、ロシア経済はほとんど外貨頼みだったわけで。
サブプライムローン危機で西欧の資金がどんどん引き上げていっている状態で、
もういちど資源バブルを起こそうと躍起になっている
プーチンの政策は無謀としか言いようがない。

それに会社を起こしている人はすべて欧州系の銀行からの融資ですから、
恋人の会社の経営がどれだけ危ういか、素人だって判断できるのに。

なんでもエステサロンを経営しているとのことですが、
エステなんて中産階級がほとんど育っていないロシアでは、
明らかに富裕層相手でしょう?
その富裕層の資産がみんな半分以下になってしまっているのに、
エステにお金をかけたい人なんていますか。

そういう諸々の点を考えても、
恋人がプルシェンコを使って自分の会社の赤字を補填しようと
画策してるのがわかりそうなものですけれどもねぇ (´・ω・`)

現にプーチンはかつて国有であった資源会社を再び国有化して、
赤字化した財政を会社の売上金で補填しようとしてるわけですからねえ。
国の首相がそういうことを考えているわけですから、
個人だって同じことをしないとはいえないわけで。


ハァ・・ε-(‐ω‐;)

まあ、そこもね、含めて好きなんですよ。
スケート以外何もできないところがね。
それもまた天才の魅力なんですから。
モーツアルトだって経済観念がゼロで
借金ばかりの生活をしていたわけですし。
しかも、大の女好きで、
本当の死因は売春婦から梅毒を移されたせいだといわれているんですから。


ロシア杯は厳しいでしょうなぁ。
しかし、本命はオリンピックなんでね。
そこで、完成できればいいわけで、気楽にいってほしいですが。

ただねえ、ロシア杯にはPチャンも出場するんですよ。
そこである程度の評価を取っておかないと。
PCSの面で、今後の大会においてPチャンより低く評価されてしまうかもしれない。

本当に厳しい復帰だと思います。

だからこそ、がんばってほしいと思うんですが…