2008/01/17

emo、やっぱいいわ~―the best album of 2007―


あんまり好きではないんですが、いちおうUK/US ROCKのブログということで、
2007年の私的ベスト・アルバムを選んでみようかと。

去年は本当にわたしの周りではemo旋風が巻き起こっておりました。
わたしだけではなく、友人達もemo! emo! emo!てな感じで、
まあ、世間的にはけっこう沈静化しているとは思うんですが、なぜかわたしの周りでは異常に熱狂してた。
そのせいで、今までさんざん馬鹿にしてたグッシャーを聞いて、すっげーいいとか思ったり。
自分のあまり聴かない傾向の音楽(ポップ・パンクとか)まで聞いてました。
そういう意味では、新しい音源を開拓する手助けになったのかな。
ある意味、すごく充実した一年だったかと思います。

で、そんなemoなわたしが選んだ2007年ベスト・アルバムは↑
自分で言うのもなんですが、あまりにもまっとうすぎて、ちっとも面白くない。
だけどね、すごーくいいんですよ。これが。
なんていうのかな。すごく「大人になった」って感じ。
emoテイストは残しつつも、すごく独自のカラーを出してきたというか。
昔はもっとハードコアに近い感じ(?:ごめんなさい。うまく表現できない)だったんですが、
今回のアルバムでいきなり黒っぽさをふんだんに盛り込んで、
『大人っぽく』仕上げている。
だからといって、落ち着いてはいないんだよね。
やんちゃさはまだ残っている。その加減が絶妙というか。

また、JEW以降のemoの音を提示した感もある。
単なる「泣き」を入れるのではなく、ビターな感じに仕上げているところがすごくイイ。
パトリック・スタンプのボーカルもすごく味わいがある。
昔は(痩せてたころ?)、線の細い感じもあったように思うんだけれども、
このアルバムではぐっと野太くなって、声も伸びやか。すごく確信的で、自信に満ちてる。
もしかしたらハードコア的絶叫よりも、こういう黒人音楽的なしっとりと、
ソウルフルに歌い上げるほうが彼にはあっているのかもしれない。
そういう新しい才能を自ら発見した(もしくは気づいた)点でも、
成長が見られたアルバムだったのではないかと。

ホントね、こういうフツーのバンドが突如「化ける」のに弱いというか。
むしろそういうバンドがレヴェルアップしたときが、
いいアルバムを作ったということになるんじゃないかと思うんですよ。
前回のロキノン批判のところでも話したことなんですが。

個人的には、こういう「ベスト~」というのは不毛だと思うんですが、
本人の主観もあることですし。しかも、わたくし、あまり新譜を買わない性質というか
よほど好きなアーティストでないかぎり、新譜というのは買わないんですよ。
なぜかはよく分からないんですが。慎重派なんでしょうか。
周囲の評判だったり、気分だったり、いろいろあるとは思うんですが。
自分の中で十分寝かせておいて、機が熟したら買うという立場をとっているという感じですね。
だから、数年前に出た新譜を平気で買ったりする。
だけど、世間的にはもう終わってるってのはしょっちゅうあります。
そういう点からいけば、自分の選択というのは正直最先端を行っているものではない。
また最先端を行けばいいってわけでもないし。
じっくり、しっかりと自分の耳で確かめる。それが自分流のロックの聞き方ではないかと。

そういう点からいって、
↓のAFI『sing the sorrow』(2004年作)は
私的には去年のベスト10の一つに入っているアルバムでした。
めっちゃかっこいいねー、AFI。すっげーハマる。
ホントいいんですよ、マジで。でも、かなりハードコアというか、
emoの中でも特にscreamoの部類に入るので、
絶叫系のボーカルが嫌いなヒトはおススメできないですけれども。
でも、その辺のハードコア・バンドのように、
いたずらに叫んでいるわけじゃないんですよ。
メロディはしっかりしてるし、むしろポップさとハードコアの加減が絶妙というか。
ポップな曲のなかにハードコアな絶叫を織り交ぜて歌うDaveyのボーカルが見事。
オフスプの主催するレーベルからデヴューしてるんですが、
デクスターが好きになるものすごく分かる。
オフスプ好きなヒトなら結構いけるかもしれない。

ちなみにAFIはcureのロバスミ御大が勧めていたバンドでもあったんですよね。
聞いてみて、彼が好きになるのがよく分かる。
すごく激しいんだけれども、ほどよくポップというか。
ロバスミって自分の作る曲は大人しめな曲が多いんだけれども、
好んで聞く曲ってけっこう激しいのが多いんだよね。
kornとか、deftonesとか。NINとか。意外にヘヴィ・ロック好きだったり(笑)。
ロス・ロビンソンをプロデュースに選んだのもなるほどうなずける。
内面的には激しいものを持っているんでしょうね。

いや、でも本当にAFIはめちゃくちゃいいですよ~。
殆ど日本の洋楽雑誌では取り上げてくれないけれども。
アメリカでは人気のあるバンドなんで、ぜひぜひ聞いてみてください。