2008/03/29

ひっでー

↓のstillsの続きなんだけれども、
アルバム聴いてたらこの人たちのことをもっと知りたくなって、
そういえばロキノンかクロスビートに載ってたなと
本箱をあさったらありましたよ、彼らのインタヴューが。

で、いろいろと読んだら
やっぱりスミスやキュアーの影響を受けていたことが判明。
なんでも「スミスやキュアーのような音楽を作りたかった」とのこと。
なるほどね。二つのバンドの音の雰囲気がすごく伝わってくるものね。

このバンド、デビュー当初は評論家達から
「エコバニの再来」といわれていたみたいで、
ことあるごとにエコバニと比較されていたみたいなんだけれども、
インタヴュアーにそのことを聞かれたら、作曲担当のドラムが即刻、

エコバニは聞いたこともないし、影響も受けていない。
エコバニと比較されることはかっこいいことじゃないから
」だって。

ひっでー。そこまで言うか。
こいつ、相当極悪だなあと思ってしまったよ。
もちろんその発言の裏には
何でもかんでもエコバニと比較されることにうんざりしていたというのもあったんだろうし、
自分達のオリジナリティを強調したい部分もあったんだろうと思う。
でも、その一方で彼の言ってることもよく分かるし、
なによりも当時のnew wave revival系のバンドが考えていたことが
最もよく分かる発言になっているんじゃないかとも思う。

前にも書いたようにnew wave revivalというのは
new waveを何でもまねているわけじゃない。
せいぜい2,3のバンドだけなんだよね、影響を与えているのが。
その最も顕著な例が、joy divisionとcureだったというわけで。
そのほかはせいぜいnew orderかdepeche mode、
またはポスト・パンク系ぐらいなもんでしょ?

そして、同じnew wave revival系でも
エコバニに影響を受けましたと公言しているバンドはなぜか少ない。
私が知ってるのはcoldplayぐらいだもの。
もしかしたらfutureheads辺りは公言してたかも。
でも、joy divisionとcureに比べたら断然少ない。

なんで? って思うんだけれども、
同時にすごく彼らの気持が分かるというか。
new wave revival系ってだいたい私と同じ年頃の人たちが多いんですよね。
まあ、同世代ですよ。
そんな同世代の人間が見て、エコバニってすごいきついというか、
同じnew waveでも好きになれないバンドなんですよね。
なんかダメ。うまくいえないんですが、音がもうダメなんです。
すごく古くさく聞こえるというか。
joy divisionやcureだって昔の音楽だよ?
古くさく聞こえるんじゃない?って思われる方もいると思うんですが、
この二つのバンドははじめて聞いたときから
不思議と古いとは思わなかったんですよ。
もしかしたらNINでだいぶ鍛えられていたせいかもしれないんですが。
トレントは以前からこの二つのバンドが大好きだったし、
特にjoy divisionのdead soulsをカバーしているので、
NINの延長で違和感もなく入っていけたんですね。

だけれども、エコバニはダメ。すごくきつい。
エコーのかかり方が古くさいというか。
すべてが過剰で、オーバーすぎて、
joy divisionやcureみたいに冷めた部分がない。
この二つのバンドには、どこか突き放した部分があって、
それがすごくクールに見えるんだよね。
だから、NY出身のインターポールがjoy divisionを引用する。
都会的冷たさと彼らの音楽がぴったりと一致するんでしょうね。

方やエコバニはそういう都会的クールネスを思わせる部分が少ない。
それプラス、ポップさが足りないような気がする。

それはエコバニが至極まっとうな、生真面目なロックバンドで、
自分達の音楽をとてもシリアスにとらえていた
からなんだと思う。
joy divisionやcureみたいにポップソングへの憧憬というのがあまりないんだもの。
joy divisionってイアンのイメージが強すぎて、すごくシリアスなイメージが強いけれども、
イアン自身はとてもクラブ・ミュージックが大好きで、
クラフトワークみたいなエレポップにもすごく精通していた。
cureはいうにあらず、彼らが世界的にブレイクしたのは
中期から現在にかけてのポップ化への移行によるもの。

ところが、エコバニにはポップ・ミュージックへの情熱はあまりないように思われる。
しかし、だからこそ彼らの音楽は80年代の時代の空気にぴたりと当てはまり、
当時の若い人たちを熱狂させたんだとも思う。
そして、時代が過ぎるのと同時に彼らの役目を終えた。

ロックというのは常に時代と併走しているものだとは思わないけれども、
でも、ニルヴァーナとか見てると
やっぱりロックというのはその時代とともにあるといわざるを得ない。
エコバニもそういうバンドの一つだったんではないかなと。
だから、いま聞いてもぴんと来ないし、キビシイし、きついし、古いって感じちゃう。
もしかしたら彼らの音楽が
完全に時代に追いついていないせいなのかもしれないけれども。

そういうことを考えたら、
このstillsのドラムの発言もまちがってはいないかなぁと思ったのでした。

The stills

最近、↑のアルバムがよくってよくって
PCでもオーディオプレーヤーでもこのCDばかりかけてる。
買った当初はぜんぜんハマれなくて、4年ぐらい放置していたんですが、
先々週ぐらいからnew wave revivalが突然マイブームになりだして、
当時買ったブロックパーティやdepature、futureheadsなどの
new wave revival系のCDを探し出して聞いてたら、
stillsがすごくいいと思いはじめて
それ以降ずっとヘヴィロテ状態。

数あるnew wave revival組でも
このバンドはすごくオリジナリティがあるというか、
前にも書いたように、
new wave revivalは大きく3つに分けられると思うんですが、
このバンドはどのタイプにも当てはまらない、独自の世界観を持っている。
確かにjoy divisionの影響は否定できないものの、
joy divisionよりもcureやスミスの影響が強いというか、
彼らはjoy divisionよりもスミスやcureの世界観に憧憬を抱いているんだと思う。
だけど、そのおかげで同じnew wave revival組でも
一線を画したバンドになったともいえる。

ボーカルもすごく良い。
new wave直系の気だるい系なんだけれども、
イアン・カーティスの物まねをしてるわけじゃなくて、
すごく声に深みがあって、しかも聞かせる声を持っているというか、
聞いていてすごく心地良いボーカルです。素晴らしい。
デビュー当初はけっこうマスコミにも取り上げられたけれども、
ブロックパーティーやインターポールほど話題にならず、地味なのも良い。
そのうち大化けするんじゃないかと期待しております。

正直、あんまりブロックパーティーやインターポールを評価していない。
別に嫌いじゃないんですよ。クオリティの高いものを作るし、ひじょうに志も高い。
でもね、1st albumがめちゃくちゃ注目されたでしょ?
持論として 、
1st albumに注目が集まりすぎるバンドは長続きしない
ってのがあるの。
これは私が10年近く洋楽を聞き続けて得た結論です。
そして、かなりの確率であたるんだ、これが。

むしろデビューアルバムは注目されず、
3作目でブレイクするバンドはたいてい長続きするし、
ビック・バンドとして生き残れる。


レディへしかり、U2しかり、cureしかり。
例外はNINだけだな。
あ、でも、ある意味『downward spiral』も3作目かも。
その前に『broken』等のミニアルバム出してるし、
それをセカンドと考えたら、3作目っていえるもんね。
とにかくデビューアルバムで高い評価を受けたり、ブレイクしたりするバンドはだめだね。
オアシスだってある意味ダメでしょ?
確かに今でも人気は高いけど、音楽的評価といったら
1stや2ndを超えられてないんだから。
だから、ブロックパーティーやインターポールみたいに
1stで注目を集めすぎちゃったバンドはダメ。
かならずどっかで息切れを起こす。
個人的には、もうインターポールは終わりだと思ってる。
ロキ○ン辺りでは高い評価をつけてるけど、
私的には完全にネタ切れしたなって思ってるもん。
joy divisionネタは長くは続かない。
じゃあ、次何をするか。REMやろうっていうのはちょっと安直過ぎない?
もっと自分達のオリジナルを作らないと。

まあ、正直stillsもむずかしいところなんだよね。
1stでいきなりメンバーチェンジの憂き目にあって、
2ndですっかり作風を変えたでしょ? それが吉と出るか凶と出るか。
個人的には2ndは好きじゃないです。

でも、このバンド、けっこうおもしろいよ。
曲とかだけじゃなくて、メンバーも。
実はこのバンド、ドラムがほとんど曲書いてるんだよね。
いまはギター件ボーカルに転向したけど。
そういうところもユニークでおもしろいかも。
とにかく買いです、このアルバムは。

全然関係ないんですが、departureのcd、コピー・コントロールがついてるのよ。
おかげでPCに入れられないじゃん! わざわざ曲買っちゃったよ。
これもレコ会社の戦略か? と思ってます。

今週あったさまざまなことなど

今週、本当にいろんなことがありました。
本当だったら大学も今月はお休み(というか終わったんだけど)で、
たくさん更新できるはずだったんですが、
予想外のことがおきまして今日まで更新できずにいました。

まず、火曜日に大学の卒業式があって
その日はそのまま友人達と大学周辺のお店で卒業パーティーならぬ飲み会決行。
しこたま飲んで、案の定次の日二日酔い。
その日一日ずっと気分が優れず過ごしておりました。

で、さらにとんでもないことが木曜日に。
実は隣家が火事になりまして(激汗)。
大学もなくお昼近くまで眠れるとずっと眠っていたら、
母に「隣の家が火事だから早く起きなさい!」と。
どうせぼやかなにかだろうと思って外に出てみたら、かなり燃えてる。
危うく類焼を受けるところでした。
さいわい、死人もけが人もなく燃えた家も半焼程度で済みましたが、
人間、パニックに陥ると何をしでかすか分からないもの。
母親は大事なものを取り出さなきゃと消防士さんがとめるのも聞かず、
家のなかに入ってしまったり、
私は私でいつもなら簡単に出せる父の携帯の番号を
出せなくなってしまって、むやみに携帯のボタンを押しまくったりと
「火」を見たときの恐怖といったらありませんでした。
そのくせ、家の燃える火をみながら、
「もし家に火が燃え移って類焼を受けたら、この場合どの判例に当てはまるんだろう」と
民法で勉強した判例が全部頭にバーッと浮かんで、
妙なことを考えてしまったりしてました。

いちばん大変だったのは警察と消防におんなじことを何度もきかれたこと。
出火当時の状況や第一通報はだれだとか、
もう本当におんなじことを何度もくりかえして、
しかも母親はパニックに陥ってしまって
わけがわかんなくなってるから言ってることも支離滅裂で、
仕方なく自分が母に代わって事情を説明しました。

消防車って思ってる以上に来ないんだよね。
いや、たぶんすごく早くには来てるんだろうけれども、
その待ってる時間といったらハンパなく長かったです。
しかも、消防車がきてもすぐには消火はせず、
まずは消火栓を探してそこからホースをつないで
消火するからすごく時間がかかるの。
119番をしてから実際に消火をするまで15分以上はかかってました。
そのあいだ私たち一家は気が気じゃありませんでした。

消火が終わってその後は気が抜けたのか、
激しいまでの疲れが。心身ともに消耗しきってました。
だけど、もっと驚いたのは母が友だちとの約束があるからって
すぐに出かけてしまったこと。
父も打ちも母の肝っ玉のでかさに半ばあきれてしまい、
おばさんのしたたかさに太刀打ちできないなーと変に感心してしまいました。
すごいね、お母さん。

だけれども、人のことは言えないかも。
ウチも次の日、買い物にいってしまったから。
めちゃめちゃ買いまくりましたよ。
春ものの洋服を買ったり。
今月はCD20枚も買ってしまうという暴挙を起こしたばかりだったのに、
懲りずに洋服もたくさん買ってしまいました(激汗)。
たぶん今月は破産でしょう。
付き合ってくれた相方も私の馬鹿さ加減にはあきれるばかり。
でもさ、洋服って魔物じゃありません?
あの綺麗な色とかわいいデザインが財布の紐をついついゆるめさせるのよ~。
洋服って確実に人を堕落させますよね~。
相方に「来月NINのCD買えなくなるぞ!」といわれなければ、
ずっと買い続けてたかも。
すっかり馬鹿になってた私でした(汗)。

人生なにがおこるか本当に分からないもんです。
母もこんなこときっと一生起こらないわよといってたけど、
本当にそう思います。
みなさんも、火の元にはご用心を。

2008/03/23

この二大女優がすごい!

大学に入って間もない頃、これでようやく遊べる!と思って、
毎日のようにDVDを見まくっていた一時期がありました。
近所のゲオでは毎週のように
『旧作50円』だの『旧作98円』といったレンタル・セールがあったし、
また大学にもたくさんのミニシアター系のDVDがたくさんあったりして、
そういう周りの好環境にも助けられて、本当にたくさん見てました。

でも、ここ1~2年のあいだは勉強が忙しくてほとんど見れなくなっていたんですが、
無事大学院進学も決まり、今のあいだは学校もなく暇なので、
久しぶりにゲオに行ってDVDを借りました。

で、そのなかで特に印象に残った作品をここでいくつかあげたいと思います。

最初は、『クイーン』。
いうまでもなく、ヘレン・ミレンがオスカーを初めとする
数ある映画賞を総なめにした
ことで話題の作品。
実際に見て、オスカー受賞も納得の名演技にびっくり。

彼女のなりきりぶりといったら。
ヘレン・ミレンはエリザベス女王の役として出演しているんですが、
↓の写真にもあるように、本人とまさにそっくり。
でも、似てるのは容姿だけじゃない。
彼女のまとう雰囲気がまさに女王。
まるでエリザベス女王が彼女に乗り移ったかのよう
彼女はエリザベス女王が背負っているであろう
バックグラウンドまでもみごとに演じきっているんですよ。
女王としての威厳や誇りだけではなくて、
ヨーロッパで最も古くから存在する王家としての歴史だったり、
イギリスという国が持っている伝統だったりと、
そういう背景までもをきちんと演じているから、
物語にもリアリティが生まれる。

もちろん、ここに描かれていることのほとんどはフィクションだろうし、
実際に王家の人たちの心情など測りうるべくもないんだけれども、
でもここに登場してくる人たちのダイアナ妃の死と国民の反応に対する戸惑いは、
本当にそうだったかもしれないと思わせるもので、
ヘレン・ミレンのエリザベス女王としての戸惑いや威厳、誇りや迷いといったものが、
見ている側にも非常に伝わってくるというか。
実情はこんな風だったんだろうなーと、非常にリアリティを感じさせるものになってる。

それに王家の人たちの描写もおもしろい。
バッキンガム公爵は思っていたよりも保守的な人物に描かれ、
意外とチャールズは好人物に描かれていたり、
そして、王太后のセリフ、「本当に困るのは、あなたが亡くなってからのことなのよ」は、
決して笑い事で済まされることではないですよね。
事実、次期国王はチャールズではなく息子のウィリアムにという声が多いのですから。

それにしても、この映画、王家の人が見てどう思うんだろう? 
日本じゃ絶対に作れないですよね。こんなの。イギリスの懐の深さにも感心。




そして、次はこちら。『プラダを着た悪魔』。
これもすごい映画だった。特にメリル・ストリープが。
とても言葉では言い表せない。彼女のオーラというか、
彼女のまとっている雰囲気が本当にすごいの。
まさに伝説的な編集長って感じで。

彼女の映画は何本か見たことがあるんだけれども、
そのなかで最近見たのが、タイトルを忘れてしまったんですが、
ニューヨークの下町で子供たちにバイオリンを教える教師の役をしていた映画だったんですよ。
もちろん、その時の演技も非常に素晴らしくて、本当に『教師』って感じだったんだけれども、
『プラダを着た悪魔』のミランダとはちがって、すごく「おばさん」くさかったというか、
まあ、身持ちを崩してしまった元演奏者という役柄だったんで、
実際太っていて当たり前だったんだけれども、それだけじゃなくて、
全体をまとう雰囲気も「おばさん」だったんですよ。

それが、この『プラダを着た悪魔』では、そんな影を微塵も感じさせないほどの
スタイリッシュで、洗練された、隙のない
マンハッタンのやり手キャリア・ウーマンにみごとに変身してる。
そのなりきりぶりといったら、あっぱれと手をたたきたくなってしまうほど。

↓にも写真が出てますが、ファッションやルックスといった見た目のだけじゃなくて、
ファッション雑誌の編集長らしい気取ったしゃべり方だったり、
フラッシュを向けられているときに見せる虚栄心に満ちた態度や、
部下たちを震え上がらせる有無を言わせぬ雰囲気や、高慢な表情。
そして、鬼のような人物がふとした折に垣間見せる弱さ、もろさ。
そういう些細なところまでも、完璧に演じきっているんですよ。

見ていてずっと彼女に威圧されっぱなしというか。
映画自体は『社会に出たばかりの若者が鬼上司にしごかれて成長してゆく』という
ありがちな話なんですけれども、
メリル・ストリープの手にかかったら、
こんな単純な話もすごくおもしろく見えてくるから不思議。
彼女の演技を見るだけでも十分見ごたえあり。

実際この映画は日本でもけっこうヒットしたみたいなんで、
見た人も多いと思うんですが、DVDで見てもおもしろいですよ。



↑の二つの作品は、ストーリー自体はかなり単純なものだけれども、
二人の女優の名演がぐいぐい引っぱって、
最後まですんなりと見ることができちゃいます。
特に『クイーン』はかなり『大人の』映画です。
日本の皇室のことも考えさせられます。ぜひ見てみてください。

2008/03/22

来日記念特集

実は今月の18日から21日にかけてJEWが、
東京、名古屋、大阪とライブ
をやっておりました。
正直、めちゃめちゃ見に行きたかったんですが、
そこは北海道に住む者の宿命、当然のごとく見にいけませんでした。
こういうときは、本当に札幌に住んでいることを切実に恨みますね。
北海道に来る外タレなんてほとんどいやしないもの。
その点、東京がうらやましい。
どんなに建物が密集して、人口密度が極端に高くても、
こういう洋モノのアーティストが来たときには、ぱっと見に行けるものね。
いいなー、いいなー。やっぱ東京に就職だよな~。司法試験、がんばろっと。

というわけで、JEW来日記念ということで
私の一番おススメする彼らのアルバムの紹介をと。

まあ、彼らはいわゆる元祖EMOとして有名なのですが、
EMOってなに?、ときかれたら
必ずといっていいほど、このアルバムを勧めてる。

正直、EMOにはっきりとした定義はないんですよ。
音楽性もばらばらだし、
GOTHからハードコア、new waveからパンク、シューゲイザーまで
ありとあらゆる音楽性がつめこまれている。
見た目にしても、それほど定義があるわけじゃない。
以前に少しGOTHテイストがあると紹介しましたが、
みんながみんなそういう格好をしているのではなく、
EMOのある一派だけがしているというだけで、
なかにはファッションに無頓着なEMOもいる。

でも、そんななかでもEMOといわれて確実に思いつくのはこのバンド、↓のアルバム。
少なくとものちのEMOの流れを作った重要なアルバムには間違いないから、
とりあえずEMOを聞いてみたい人には、
この↓のアルバムが最適なんじゃないかな。

EMOには特にこれといった音楽性はないといったけれども、
少なくとも、一つだけ明確な定義をあげるとしたら、それは必ず「泣き」が入ること。
まあ、これもはっきりとしたものはないんだけれども、
青春時代の青さとか、甘酸っぱさとか、
とにかく聞いていて、なんか胸がキューンと切なくなってしまう感じの音
が入っていると、
それがEMOになるのかな。
そういう意味では、the get up kidsの「something to write home about」もおススメですが。

このアルバムは、そういう「泣き」の要素が満載されている。
それに初期EMOの原型も垣間見られるし。
EMOって最初は「エモコア」と呼ばれていて、パンクの一派ととらえられていた。
このアルバムはそういうパンクっぽい要素も含まれている。
その一方で、メロディがキラキラしていて、すごく甘酸っぱい気持ちにさせられるというか、
とにかく「ラッキー・デンバー・ミント」はおススメです。
もう名前自体がかなり甘酸っぱいですよね。すごくいいです。

それに「sweetness」も。
この曲はのちに、『bleed american』にも収録されることになるんだけれども、
私的には絶対、『clarity』に入っている「sweetness」じゃないとだめなの。
『bleed american』収録のほうは、アレンジメントが少し異なるというか。
基本線はまったく変らないんだけれども、 よりメジャーっぽい音作りになっている分、
ハードロック寄りになってしまって、 EMOの要素が消されてしまっている。

でも、『clarity』収録のdemoのほうは、 まだ彼らの「青さ」が残っているんですよ。
このときはまだインディーだったということもあるんでしょうが、
エコーがね、少しだけ靄がかかったようなエコーがいいんですよ。
録音の関係なんだろうけれども、
その些細な違いで本当に変ってしまうというか。
まあ、「sweetness」はアサヒスーパードライのCMにも使われている曲なんですが、
もし聞いてみたい方がいれば、
『clarity』収録の「sweetness(demo)」のほうをおススメします。

2008/03/21

Floria Sigismondi



私が洋楽を聞き始めたころ、だいたい中学3年生ぐらいだったんで
もう10年近く経つんですが、
その頃はすでにロックが衰退し始めていて、
洋楽といえば、ティーン・アイドル系がほとんどでした。
特に私が高校生の頃は、
ブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・アギレラ、インシンクなんかが
ブレイクし始めた頃だっただけに、その勢いはハンパじゃなく、本当にすごいものでした。
正直、あまりロックを聴いている子はいなかったんじゃないかな。
ロック聞いている奴はそうとうな少数派で、
洋楽っていえば、だいたいはこういうアイドルものばかりだった。
洋楽派の女の子のあいだでは、
ブリトニーかアギレラかできっぱりと人気が二分されていて、
どちらがいいかでよく言い合いをしたり…。
私は断然ブリ派で、アギレラはほとんどきかなかったんだけれども、
↑の曲だけは特別というか、私が唯一好きなアギレラの曲だった。

どうしてかというと、PVがすごく好きだったから。
このPVはアギレラのPVのなかでも異色というか、はっきりいってGOTHなんですよ。
フツーのアイドルなら絶対こんなもんつくらんだろーなっていう趣味で。
でも、逆に私には非常に好感が持てたというか。

それもそのはず、このPVを作ったのは、
現代ゴシック・アートの女王、Floria Sigismondiの手によるものだから。
「え? そのヒト誰?」と思われた方は、
マリマンのbeautiful peopleを作ったヒトといえば分かるはず。
あの悪趣味極まりないPVを作った方でございます。

私は彼女のPVが大好きで、最近ではwhite stripsのblue orchidがあるんですけど、
彼女の、サディスティックで、グロテスクなゴシック趣味がたまらなく好きというか。
マリマンのPVもそうなんですが、人をガラスケースに閉じ込めたり、
矯正器具(または拷問器具)をつけさせたり、
ものすごいヒールの高い靴を履かせたりとすごく拷問的。
でも、それがなんともいえぬ不安定な魅力をもたらし、すごく好きなんです。

で、このPVもこれでもかというぐらいフローリア女史の趣味が反映されている。
正直、アイドルのPVにここまで好き勝手なことをしてもいいのかと思うぐらい。
いくつかマドンナのfrozenに影響されているところもあるんだけれども、
総じて彼女のオリジナリティが満載されています。
女性がやたらヒールの高い靴を履かされて、無理やり歩くところとか、
アギレラが例のごとくガラスケースの閉じ込められちゃったり、
蝶にまみれちゃったり…。そういえば、マリマンのPVも蝶にまみれたやつがあったな。
私的には、アギレラがカタツムリみたいに這い歩く(?)シーンがツボ。
杖を持って歩いているんだけれども、背中に刺さっている何本もの杖(?)が
カタツムリの殻っぽく見えるんです。
そこがなぜか「萌え~」。何度も見ちゃう。

でも、このPVってなぜかITSでは売ってないんだよね。
日本だけじゃなくて、アメリカも。
なんでだろう? マリマンは売ってるのにな。
早く入れてほしいと思ってるんですが、追加される予定はない模様。
なんで? アギレラのイメージが崩れるからかな?
そんなこともないと思うんだよね。
現にこのPV、あゆも思いっきりコピーしてますから。

ちなみに、彼女、cureのthe end of the worldも作っております。
cureのPVを作るってきいたとき、
両方とも好きなアーティストだったのでめちゃ興奮しました。
だけど、このPVでは彼女の趣味は抑えて、
きちんとcureのテイストにあわせて作ってます。
キッチュな世界観が素敵。

2008/03/20

GOTHとは何か⑥~勝手に選ぶgoth名曲集。

これまでにいろいろとgothの話をしてまいりましたが、
ここではgothを代表するバンドで、
私が良いと思う曲をいくつかリストアップしたいと思います。

1.the man with the X-ray eyes-bauhaus
2.mask-bauhaus
3.the wind kiss pictures-christhan death
4.the Cardinal Sin-Dead can dance
5.Dead souls-Joy division
6.Company of Justice-play dead
7.Black Planet-Sisters of mercy
8.First and last and always-Sisters of mercy
9.This corrosion-Sisters of mercy

1と2はいわずとしてた元祖goth BAUHAUSから。
80年代初期のgothと呼ばれる前のポジティヴ・パンクの雰囲気を最もよく出しています。

3と4は、かなりマイナーなバンドのように思われますが
ゴス界ではけっこう有名みたいですね。
どれも気だるい雰囲気が退廃的でよろしい。

5はいわずと知れた伝説的バンド、joy divisionの名曲。
NINもカバーした素晴らしい曲です。
扇情的なドラムビートが素敵。NINにも影響を与えまくってます。

6は異色も異色。80年代で唯一といっていいほどのアメリカのgothバンド。
初期cureっぽいテイストが魅力。

7,8,9はいうまでもなし。gothといったらこのバンド。
Sisters of mercyのアルバムから。この三曲はどれも秀逸ですが、
残念なのは、this corrosionがITSで買えないこと。
10分以上もあるこの大曲を買うことができないなんて神への冒涜にも等しい。
ぜひ、買えるようにしてください。

バンシーズダンスソサエテとかはいれませんでした。
バンシーズはgothとは思っていないし、
ダンスソサエティはLPでしか持ってないんで入れようがない。
エコバニを入れたいところですが、正直エコバニってあんまし好きじゃないんです。
でも、もしお聞きになりたい方はぜひ「the cutter」をおススメします。
エコバニも決してゴスではありませんが、
アメリカの音楽雑誌はけっこう「ゴスバンド」として彼らを紹介してます。
ので、いちおう紹介したほうがいいかと。

そのほか現代GOTHとしておススメしたい曲は、
1.Burn-the cure
2.tourniquet-evanescence
3.the Beautiful people-Marilyn manson
4.Evolution-Korn
5.Closer-NIN
6.Personal jesus-Depeche mode

上のいずれのバンドも「正式なゴス」ではありません
どちらかというと「ゴスっぽい」曲として紹介しました。

1は、欧米では知らぬものはいないthe cureからの曲。
ゴス系の人からゴスの名曲と言われている曲です。それもそのはず、
この曲はゴス映画「the crow」の主題歌として使われたもの。
『クロウ』は欧米では漫画として有名ですが、
原作者が漫画を描くときにcureの曲を引用したことから、
サントラとして使われました。
cureというかロバート・スミスのヴィジュアルは
アメリカにおいては特に強い影響を与え、
のちにティム・バートンは『シザー・ハンズ』という映画を作ることになります。
またPVもけっこうゴスっぽいものがあり、特に『lullaby』はおススメ

2は現代ゴスメタルの女王、エイミー・リーの率いるエヴァネッセンスより。
この同タイトル曲がマリマンにもあるんですが、彼女はそれを意識した?

3は、現代ゴスを語る上では欠かせないマリマンの代表曲より。
私はこれを最初聞いたとき、とっさに『Bauhaus』を思い浮かべました。
80年代gothと90年代gothを結びつけた大名曲

4もぜんぜんゴスじゃないKORNの最新アルバムから。
でも、彼らは若いときけっこうゴスを聞いていたらしく、所々にゴスの影響が垣間見られる。
この曲もそんな彼らのゴス臭が見られる曲。

5はねえ、大大名曲ですよ。曲というよりもPVがもろゴス。
当然名PVなんですけれども、けっこうグロいです。できれば無修正版で見たほうが良い。
you tubeで見られるのは、修正がかかってるやつであんまりおもしろくない。
でも、NINのPVはかなりゴスっぽいですよ。
人間をミンチにしちゃうPVとか、かなりエグいものが満載です。

6もGOTHとはいえないけれども、
マリマンやNINに与えた影響を考えたら、ここに入れたほうが良いと思って。
現にこの曲は、マリマンもカバーしましたし。a perfect circleもカバーしてます。
現代ゴス及びヘヴィ・ロックにとてつもない影響を与えながらも、
最も過小評価されているバンド
の大名曲。

なお、おススメのサイトとしては、
ゴシックメタルを詳しく紹介したこちらのサイトや、
sisters of mercyなど80年代GOTHを紹介したKihitoさんのサイトなどがあります。
どちらもとても秀逸なサイトですので、ぜひご参照を。

そして、大変遅れてしまいましたが、
このGOTH特集をするにあたって、
Kihitoさんにたくさんの指示をいただきましたことを
ここにお礼を申し上げます。
new waveとgothの違いなど、
なかなか凡人には分かりづらい部分を非常に分かりやすく教えていただき、
とても勉強になりました。ありがとうございます。

2008/03/16

いつ出るの?

                 (ロバスミ近影:イタリア版rolling stone)

この前sheelaさんより、いつcureの新盤が出るの?というコメントをいただき、
欧米のファンサイトでも「いったいいつ出るんだよ!」
と苛立ちの声がいくつも上がってきているので、
どうしてcureがアルバムを出せないかというのを、私見を述べたいと思います。

その前にcureファンの方は、
あまりヘヴィ・ロックやemoをお聞きにならない人が多いようなので、
ロス・ロビンソンという人間がどういう人物かを
あまりご存じないと思います。
ロスについてはまた日を改めて、きちんと書こうと思いますが、

ただ、一点だけ。
ロスという人はバンドに
異常なほどの過酷を強いるということです。

その結果、傑作も作りもするけれども、
同時にバンドの人間関係も悪化させ、必ずや破滅へと導きます
(汗)

at the drive inしかり。separturaしかり。
上の二つのバンドは、傑作アルバムを作ったあとバンドは散会してしまいました。

kornやslip knotが2作までしか続かなかったのは、
ロスの鬼畜ぶりに耐えられなかったからです。
もし機会があれば、ぜひkornのDVDを見てみてください。
ロスのレコーディング風景がごらんになれます。
はっきりいってすごいです。凄絶です。
ジョナサンを徹底的といえるまで精神的に袋小路へと追い詰め、
トラウマを引き出させる、そのやり方は本当に「悪魔」です。
最近、screamo系に活動の場を移してからは
演奏者にも同じ負担を強いるようになり、
演奏者は血を吐くまで演奏しなければならないことになってます
(激汗)。

ペリーさんとロジャーさんが抜けたのは、当然といえば当然で、
私はあのセルフ・タイトルのアルバムを作ったとき、絶対なにかあると思っていました。
案の定、メンバー・チェンジという結果を招きましたが、
今回のレコーディングもそういう状態を引き起こしていることは、明らかかと…。
ロスとロバートのあいだで何らかの緊張状態があるような気がします。

二人とも非常に個性の強い人間なので、
今回、新盤が出た後どのようなことになるかは分かりませんが、
もしかしたらロバートがロスを切るか、
バンドをもう一度再編させるか、
いずれにせよ、ロバートにとってつらい選択を強いられることになるかもしれません。

でも、ロスとの契約ままだ残っているので、どうなるかは分かりませんけどね。

追記:
先日、juneさんからご指摘があったとおり、
かなり誤解を与えてしまう書き方をしてしまいました。
今回のアルバム制作に関して、プロデューサーはロスと共同ではなく、
ロバート本人によるプロデュースとなっております。
しかし、私が言いたかったのは、ロスはcureの所属レーベルのオーナーであり、
実際アルバム制作を行うということで契約を交わしているので、
実際にプロデュースに携わらなくても、
何らかの形では関わっているのではということを想定して書いております。
もしかしたらミックス・ダウンはとうに済んではいるけれども、
ロスのほうでリリースのサインが出せないでいるのかも…とか思ったり。
彼はひじょうに熱い男ですから、
よりエモーショナルなものを求めているのではないでしょうか?

2008/03/15

生まれてはじめて『浜崎あゆみ』を聞いてみた。

数日前、友人からブリトニー・スピアーズにそっくりの
あゆのPVがあると教えてもらったので、早速ITSで購入して聞いてみた。

『買った』てのがすごいでしょ?
なぜかというとyou tubeでどんなに探しても見つからなかったのが
思わず買ってしまった大きな要因なんですが、
でも、400円も出してただ一回見るために買う私って…。
だってどーしても見たかったんだもん。
ブリっていわれて我慢できなかったんです。

で、感想はというと
「…」
ビミョー…。
浜崎あゆみって私の中高生時代はかなり流行っていたというか、
一時期、本当にすごかったときがあって、
友だちの中にもちらほらとファンだという子がいたんだよね。
私はまったくはいっていけなくて、もうその頃はすでに洋楽派だったもんで、
よけい興味がなかった。

それに、あゆって昔からよくいわれていることなんだけれども、
マドンナに似すぎ…。
むかし『evolution』ってあゆのPV見たことあるんだけれども、
マドンナの『rain』にそっくりすぎて、逆に笑ってしまったというか…。
あゆは流行の先端ってよくいわれてるけど、
よく見ればマドンナがやってることを、
あゆがいち早く取り入れて日本に広めているという…。
そういう『からくり』が透けて見えてよけい興味が持てなかったというか。

で、今回はマドンナじゃなくてブリでしょ?
路線変更かな? と少しびっくり。
すぐうしろに倖田來未がひかえてるからね。
「エロかわ」とはいかないまでも、
彼女と同じセクシー路線じゃないと対抗できないって思ってるのかな?

でも、あゆって、まあ、あゆに限らず日本人はみんなそうだけど
「貧相」なのよ、体つきが。
いい意味でも悪い意味でも華奢だからぜんぜんセクシーに見えないわけ。
黒人と絡んでも、セクシーなダンスをしても。
だからブリとそっくりの露出度の高い衣装を着て、
「toxic」そっくりのPVをしても、まったくちがうというか…、
子どもがブリを真似てるようにしか見えないのよ。

ブリがセクシーに見えるのは、やっぱそれなりに長身で、
出るとこ出て引っ込んでるところが引っ込んでるからで、
あゆみたいな子供体型の人が「エロ」をやっても、
「????」にしか見えない。
これは日本人特有の欠点だし、仕様がないんじゃないかな。

逆に倖田來未がやってもダメ。
彼女はたしかに「エロ」なんだけれども、
「かわいい」部分は引き出すことに成功してないんだよね。
だから、すごく「下品」に映ってしまうというか。
ブリと比べてみれば、すごく分かる。
ブリって確かに最近はかなりのセクシー路線なんだけれども、
ブリのすごいところって「エロ」をやっても
不思議に他人に「不快感」を与えないところなのよ。
それは彼女にしかない「あどけなさ」や「ピュアさ」があるからなんだけれども。
つまり、彼女には「ロリータ」な部分があって、
それが「エロ」の持つ「下品さ」を消しているんですよ。
でも、倖田來未にはそれがよく分かってないんだな。

ちょっと話が逸れてしまったんだけれども、
結局なにがいいたいかというと、
もっとあゆはあゆの個性で勝負したほうがいいんじゃないかと。
ただ欧米系のアーティストをコピーするんじゃなくて、
彼女には彼女しかない個性ってあると思うんですよ。
例えば「光ものが好き」だとか。
そういう個性で勝負したほうが、
ずっと個性的で、独自性を発揮できると思うんだけれどもな。

同じエイベックスの後輩とかいるじゃん。
大塚愛とかさ。
あとELTの持田香織なんかもそうだけれども、
彼女達の優れているところは
「自分達がセクシーじゃない」ということを分かっているってことなんですよ。
だからかわりに「かわいい」という付加価値をつける。
それこそが、セクシーでは絶対にかなわない欧米人に
貧相な体型をした日本女子が唯一かなうことのできる「美」なんだから。
あゆももっとそういう日本人らしさで勝負したほうがいいんじゃないのかな。
だからといって、マドンナが昔やっていた日本趣味を
そのままコピーしてしまうのはどうかと思うけれども。

ここのサイトでマドンナ、ブリとあゆを比較した画像が見れます。

あと、もうひとつ。

NINネタで、いまlast.fmで海外のNINファンがレディへを負かそうと
一生懸命「ghosts」を聞くというので盛り上がってるんだけれども、
私は、同じNINファンでもそういうのはあんまり好きじゃないな。
別に数の上でレディへに負けようが、そんなの関係ないと思ってますから。
大切なのは「質」でしょ?
NINがいい音楽作ったらそれでいーじゃん。
そもそもカルトな位置にあるNINなんで、
どんなに頑張ったって
明らかにメジャーのレディへには勝てない気がするんだけれども。
ウチはトレントが戻ってきてくれただけで十分です。


トレント近影。トレント、痩せた? 髪が伸びたせいか昔っぽくてかっこいいんですけど。
このトレントはカッコイイです。

PICK UP:the cure その⑥:robert smith氏の音楽的背景について②-1

ちょっと飛びましたが、少しまた前に立ち戻って
ロバート・スミス氏の音楽的背景―特に歌詞的背景にせまりたいと思います。
ロバート・スミス氏はクラシック音楽に影響を受けているところがあると書きました。
しかし、多くのミュージシャン達が影響を受けているのは、
曲の面だけではなく、もっと別な部分かと思います。

以前、多くのバンドがその影響を公言しているというところで、

愛 失恋 絶望 幻想がテーマなんだ。

とリンキン・パークのメンバーのcureについての発言を載せました。

実はcureが多くのバンドに与えた影響というのは、この歌詞だと私は思うのです。
ロバート・スミスという人は、欧州人らしく非常にペシミステッィクなところがあるというか、
物事をなんでも悲観的にとらえる傾向にある人のようです。
しかし、その悲観的な世界観こそ、NINをはじめとする
現代のオルタナティヴ・ロックにもっとも大きな影響を及ぼした部分だと思うのです。

では、彼のこのペシミスティックな視点というのはどこから生まれたのでしょうか?
私はある事実に注目したいと思います。
彼は比較的裕福な家庭に生まれて、育ったようです。
ロンドン郊外のクローリーという南部の町に住んでいたということですから、
典型的な中産階級の郊外の生活を送っていたということは容易に想像できるでしょう。

余談なのですが、
イギリスのロックを語る上で重要な事柄だと思いますので、
ここであえて記しておきたいと思います。
イギリスは階級的に南北に大きく分けられると思います。
北部には労働者階級が。南部には中産階級が住んでいるという構造です。
イタリアとは逆ですが、南部に住んでいる人たちは比較的裕福な家庭が多いです。
典型的な例としては、マンチェ出身のギャラガー兄弟とロンドン出身のデーモン・アルバーンですよね。
90年代半ばに『北部の労働者階級VS南部の中産階級』という触れ込みで、
さんざん話題になりました。あれです。
いくぶん誇張があるかとは思いますが、
北部人たちが南部の人に持っている階級的嫌悪またはコンプレックスは
多少なりとも間違ってはいないと思います。


ですが、ロバートに関していえば
彼は完全なる中産階級出身者ではないようです。
なぜなら、彼は『comprihensive school』といって
いわゆる日本でいうところの公立学校に通っているからです。
中産階級ならばたいていはパブリック・スクールに通います。
たとえ経済的に豊かでなくても、
パブリック・スクール並みのハイレベルな教育を受けることのできるグラマー・スクールもあり、
それなりに階級が上の者なら、たいていどちらかに行くのが普通です。
なのに、彼はそのどちらにも行っていない。

それはなぜなのか。

もちろんいくつか理由があると思います。
まず彼の家庭がカトリックの家庭だということがあります。
パブリック・スクールはあまり宗教教育をしませんから(しても英国国教会の教義のみ)、
カトリックの環境で学ばせたいというのであれば、公立学校でも仕方がないでしょう。
このカトリックに育ったということも実はかなり重要です。
そして、もう一つ。これもかなり重要かと思います。
彼のお父さんは厳密には中産階級出身ではないということです。
いろいろとbiographyを読んでいると、
もともとお父さんは北部の出身で、
かなりの苦労をして成功を収めた人物のようです。
いわゆる『respectable working class』
―一代で階級を成り上がった人物だったと思われます。
しかし、彼のお父さんはそうとうなハンデがあったでしょう。
労働者階級で、しかもカトリックというのは、
イギリス社会では障害にしかなりません。
イギリスにおいてカトリック出身者というのは出世が限られている場合がほとんどなのです。
おそらく世界史を勉強されたことがある方なら分かると思いますが、
最近まで『カトリック禁止令』という法律があったように、
イギリスでは要職につく人は、カトリック出身者であってはいけないというのがありました。
もちろん今では廃止されてますが、その風習は今でも根強く残っています。
お父さんの苦労というのは並大抵なものではなかったでしょう。

しかし、ロバートのお父さんには相当な信念があったと思います。
おそらく彼はカトリックの教義に強く支えられていたんだと思います。
のちにロバート・スミス氏が語っているように、
お父さんは非常に強い信仰の持ち主だったそうです。
しかし、それは時として子ども達にとっては強い抑圧となりうつことがあります。

そして、スミス家の子ども達にとって
「カトリックの教義」は文字通り「大きな壁」となって立ちはだかりました。
ロバートは雑誌のインタヴューでこう答えています。

自分が子どものころ、よく父親と兄がカトリックの教義について議論をしていた。
なぜなら兄は共産主義者だったから。でも、いつも兄は父には勝てなかった。

ロバート・スミス少年はこの二人の議論を見て、
非常に感ずるところがあったようです。
そして、彼もまたお兄さんと同様
カトリックの教義と自分の信心とのあいだで板ばさみとなります。
この信仰と自分とのあいだでどのような折り合いをつけるのか。
それは少年時代から青年にかけての
ロバート・スミスにとって最大の関心事であり、
cureの世界観を形作るのに最も重要な、まさに「核」の部分となってゆきます。

では、どうやって彼はカトリックを克服したのか。
それは次回で詳しく説明します。

勝手にnew wave revival

数日前にshe wants revengeのCDを買って以来、
急にnew wave revival系のバンドが聞きたくなり、
押入れの奥にしまっていたCDを取り出して、ITSに入れて聞いてました。

今はどうなのかは分からないけれども、
数年前までは確実に80'sのnew waveを模した音がすごく流行っていて
音楽雑誌も馬鹿みたいに持ち上げていたというか、
「ロックの未来」みたいに言われてました。
で、今改めて聞いてみて、
new wave revivalってわりと音が限定されるというか、
すべてのnew waveサウンドに影響を受けているわけではなくて、
一定のサウンドだけに影響を受けているというか、
大きく分けて三つに分類することができるなと思いました。

どういう分類になるかというと、

①wireやgang of fourなどの影響を受けたpost-punk系
②daft punk周辺のエレポップ+耽美系new wave(特にcureを模したもの)
③思いっきりjoy division

①はbloc partyとかmaximo parkとかわりとイギリスに多い。フランツもね。
逆に②と③はアメリカに多くて、
②はraptureLCD soundsytemだったり、braveryだったり、
おそらくkillersもここに入るのかな。
彼らはduran duranの影響のほうが強そうだけれども。
③はねえ、ホントいっぱいいますよ。ゴロゴロと。
代表的なところではinterpolでしょ。stillsでしょ。
そして、最近聞いたshe wants revenge。イギリスでもeditorsなんてのがいるなあ。

こうやって分類してみると傾向が見えてくるというか。
なかでもおもしろいと思ったのは、②のエレポップ系new waveが
なぜかcureとリンクするってところ。
とくにロバスミのボーカルを真似るバンドって多いんだよね。
あの変に甲高いシャウトがクラブサウンドと融合したとき、
おもしろい効果が生まれると思っているんだろうか?

だけど、いちばんおもしろいと思うのは、
joy divisionの子ども達といっていいほどの③だよね。
自分とほぼ同年代の人たちがやってるんですが。
確かに聞いてみてすごく時代やいまの雰囲気に合ってるし、
クールなサウンドでありながらも、ひじょうに都会的で、
おしゃれな感じがするんですけれども、

でも、ずいぶん遠くに来ちゃったという感じもする。
本家joy divisionを聞いてみれば、すぐに分かる。
そこにはイアン・カーティスの背負っていた人生の重みや死の憧憬、
ロバスミが常に怯えている非キリスト者としての実存の不安みたいなものがぜんぜんないんだもん。
重さがぜんぜん違うんだよね。
雰囲気だけ暗くて、根っこまでは暗くない。
だから聞きやすい。she wants revengeなんて本当に聞きやすいもの。
硫酸でうすめたjoy divisionみたいな感じでさ。
切迫感さえもないんだよね。ただ退廃的で耽美な「雰囲気」の音が流れている。

考えてみれば、私たちの世代って物事を深く考えないで
いつも「雰囲気」だけに影響されているというか、
ひじょうに皮相的なものの見方しかできないなと
深く考え込んでしまいました。
あの時代の人たちはもっと「音楽」というものを
「根っこの部分」から考えていたんだろうな。

ちなみに私がつくったnew wave revival リストはこちら。

decent days night-the futureheads
apple some pressure-maximo park
banqet-bloc party
helicopter-bloc party
digitalism in Cairo-digitalism
a forest-the cure
just like TV-the departure
fearless-the bravery
you got me-VHS or beta
olio-the rapture
gender bombs-the stills
mouth filled with sand-feeding fingers
the drowing man-the cure
she wants revenge-she wants revenge(album)
she's lost control-joy division
heart and soul-joy division
24 hours-joy division

ちなみにinterpolやフランツなどの有名どこはあえて入れてません。
わざとマイナーっぽいのをいれてみました。ブロック・パーティはマイナーじゃないけど。
もしかしたらいれるかもしれませんが、なにせ大量にCDがあるので
探せずにいます。4年ぐらい前に買ったやつですからねえ。
どこにあるのか。探してから考えます。

GHOSTS~NIN 男祭り~


きのうあたりからようやく体調がもとに戻ってきました。
で、かなり間をおいてしまったので、このあたりで大量更新したいなと。
第一弾は、もちろんNINの新作の感想をたっぷりと。

原因不明と書きましたがただの風邪でした(汗)。
最近の塾の人事異動で講師が数人辞めたせいで、
仕事が全部自分に回ってきてしまい、
知らず知らずのうちに疲れがたまっていたみたいです。
自分、あんまり自分の限界を知らないというか、
単にニブいだけなのかも知れないけれども、
なんでも一生懸命やってしまうあまり、
いきなりエンジンがぶつりときれてしまうというか。
加減がわかんないんでしょうね。
お医者さんにも無理はしないようにといわれてしまいました(汗)。

たくさんの方々に心配をおかけしてしまいました。
ぶれさん、sheelaさん、Juneさん、お見舞いのコメントありがとうございます。
あとでレスさせていただきます。

前書きが長くなりましたところで、
さっそく「ghosts」の感想を。

はっきりいってめちゃめちゃ「名作」です!

3月にしていきなりbest album of this yearに決まってしまった感じ。
それぐらいの素晴らしい作品。
正直まだCD買ってないんで、ghostⅠしか聞いてないんですが、
「Ⅰ」だけでも作品の素晴らしさが容易にわかる。
ほんま、素晴らしいです。excellent! fabulous!
毎日ヘヴィロテ状態です。

やっぱNINはこうじゃないと。ずっと心配だったんですよ。
特にwith teeth以降、
自分のこうあってもらいたいNINとトレントがもとめるNINの方向性が
すごくズレていっているような気がして、
長年のファンとしてはすごく不安だったというか、
アルバムを作るたびにどんどんつまらんクラブ・ミュージックになっていくことに
我慢できなくて、NINはこんなんじゃないってずっと思ってたんですね。

もちろん、5年半ものあいだ一線から退いていたわけですし、
そのあいだに音楽のトレンドもずいぶん変わってしまったこともあって、
トレントとしてははじめてNINを聞く人にも分かりやすい音楽を提供しようと考えて
ああいうだれでもすんなりと聞けるサウンドにしようとしたのは分かるんですけれども、
でもね。それじゃあダメなんですよ。ファンとしては。少なくとも自分としては。
やっぱNINは多少難解じゃないと。ポップすぎてもダメなんです。

確かにトレントは、前衛音楽の一つでしかなかったインダストリアル・ミュージックを
ポップ・ミュージックへと引き上げた功績は評価して有り余るほどなんですが、
だからといって何でもかんでも甘い砂糖でコーティングすればいいってわけじゃなくて、
多少の毒は含んでないと、音楽としてはおもしろくないし、
何よりもトレントらしくない。
トレントはポップ・ミュージックをやってもいいけど、
聴衆に媚びてはダメなんです。その辺はロバスミと一緒。
NINとcureはポップ・ミュージックと前衛とがほどよく交じり合っていないとダメなの。

すんません、かなり長くなって。でも、NINのことになると話がとまんなくて。
ここではNINの話はひかえようと思ったのですが、
でも、ちょっとだまってられなくて。
NINのファンの人もけっこうこの流れを容認しちゃってる部分があるみたいなんで、
自分としては納得いかんと思いまして。

このアルバムを聞いてると、
最近のトレントはかなり迷走気味だったんだと。
5年半のブランクって短くはないわけだし、
彼自身かなり方向性を見失ってたって気がするんですよね。
しかし、最近短期間でたくさんの作品を作るようになってきて、
同時に音楽のカンも取り戻してきたというか。
とにかくこのアルバムはトレントにとってもいいリハビリになってる気がするんですよね。
音楽会社の重役もすっぱりやめちゃって、
フリーになったってことも、彼にとってはいい影響になってると思うし。
これで思う存分創作に打ち込めるしね。
トレントには頑張ってほしいですよ。

でも、一言だけ。
トレントさん、「ghostsⅠ」の最初の曲って
cureの「a reflection」にそっくりじゃありません?
最近「seventeen seconds」聞いてたせいかな?
すごく似てるんですけど…。 トレントさんってば。

追記:さっきHMVのHPみたら、輸入盤フツーに売ってました。
   この調子で行けばおそらく日本盤も出るかなと思います。
   オフィシャル・サイトで購入しようと思ったけど、
   日本盤だとたぶんDVDもつくと思うんで、今は静観したいなと思います

2008/03/10

具合悪ス

原因不明の貧血でたおれて以来、
体調がよくありません。
で、更新したいんですが、
今できずにおります。
NINの新作の感想(→名作!)や最近見たDVDなど
いろいろUPしたいのですが…。
もう少し体調がよくなってから、
大量更新したいと思います。

2008/03/06

ドストエフスキーを読んで考えた。


この前、とうとう『白痴』を読み終えた。
実はこの本、あまりの難解さに、読んでは手を止め、
読んではやめをくりかえして、
読破するのに1年半近くも要してしまった。

ドストエフスキーは最も好きな作家の一人で、
『カラマーゾフの兄弟』を読んで衝撃を受けて以来
彼の作品をいろいろと読んでいるんですが、
この『白痴』だけはなかなか頭に入っていかなくて、
すごく困ってしまった。
『カラマーゾフ~』は3日で読みきってしまっただけに、
よけい……。
でも、すごくおもしろかったんですよね。
というより、彼の作品らしくすごく考えさせられました。

ムイシュキン公爵とナスターシャの二人の運命の残酷さに
ドストエフスキーは何をいいたかったのだろうかと。
『白痴』というタイトルをつけてはありますが、
ムイシュキンにしても、ナスターシャにしても
彼は『白痴』という言葉を本来の意味としてではなくて、
『世間に適応できないほどの純粋さ、繊細さを持つ人』という意味で使っている。
もしかしたら、アグラーヤも『白痴』なのかもしれないけれども。
だからこそ二人の純粋さが痛々しく、
ものすごく心に突き刺さるというか。
どうしてドストエフスキーは
ああいう悲劇的な結末にしてしまったのだろうかと。

私としては、ナスターシャは別にしてもムイシュキンだけは救ってほしかった。
長い闘病生活を経て(ここでもドストエフスキーはその純粋さゆえに、
世間に適応できず、精神的病で闘病を強いられたことを匂わせている)、
ようやく普通の世界(=世間、社会)へと出ることができたのに、
ふたたび病院へ逆戻りさせられるのは悲しすぎる。
しかも『発狂』という最悪の形で。

世の中にはムイシュキンやナスターシャのように
世間に適応できず、もがき苦しんでる人はたくさんいる。
そういう人たちを励ましてあげるためにも、
最後には何らかの『救い』がないと、やりきれない。
すごく後味が悪い結末というか。
もしかしたら、
だからこそドストエフスキーはみんなに世間というものについて
考えてほしいと思ったのかもしれないけれども。

最後のほうは読むのがすごくつらかったです。
アグラーヤがいきなり『純粋さ』を捨て、
『世俗』に走っちゃうところも。
もしかしたらアグラーヤは二人の悲劇的結末を見たからこそ、
二人のようになるまいとして、『世俗』を選んだのかもしれないんですけれども。

正直いってすごく長いし、難解です。
個人的には『カラマーゾフ~』をおススメしますが、
この『白痴』もかなりおもしろいです。
ドストエフスキーはなんでもいいから、
絶対一冊は読んだほうがいいと思います。
単なる『教養』としてではなく、単純におもしろいですから。
文学の本当のおもしろさを教えてくれる数少ない作品の一つですよ。

すごーい嘘つき!


昨日たまたま立ち寄った中古屋さんで、↑のCDが売ってたのですが、
300円という破格の値段だったので、早速買って家で聞いてました。

このアルバム、発売した当初買おうかどうか迷っていたんですが、
ちょうどその時読んでいた英雑誌『Q』のアルバム評で、
星★★と酷評していたので、「これまちょっとまずいなー」と
買うのをひかえておりました。

で、昨日たまたま安く売っていたので、
どんなに悪いアルバムなのかと聞いてみたら…、

めちゃめちゃいーじゃん!
いつものnew order節が炸裂していて、メロディもすごく良い。
確かにいつもの哀愁はやや後退しているものの、
その分、軽快さや華やかさが加わって、すごく聞きやすくなっている。
new orderはまだ聞いたことのない人には
おススメのアルバムになっているんじゃないですか?

それなのに、『Q』誌の酷評、なぜ?
いつものことだけれども、イギリスの雑誌って
こういうベテランのバンドに対しては冷たい気がする。


このアルバム評に対しても
「目新しいものは何もない」とか、「『technique』以降はいい曲を作ってない」とか
いいたい放題だったけれども、
なんでもかんでも『新しいもの』を作ればいいってわけじゃないし、
何よりもこういうベテランのバンドがみずみずしさを失わず、
平均して高いクオリティのあるアルバムを作っていられるってことが
何よりも大事なんじゃないの?

イギリスの音楽評論家は『新しいもの』『斬新なもの』に眼を奪われすぎ!
音楽とは何かという根本を忘れている!
音楽はなんでもかんでも新しいことをやればいいってわけじゃない。
時にはベテランの奮闘もきちんと評価してやることも必要だし、
一番大事なのは、『人を感動させる音楽を作る』ってことじゃないのかな?

イギリスに限らず日本の洋楽評論家、もしかしたら世界の音楽評論家たちは
そういうことを忘れてるんじゃなかろうか?

しっかし、洋楽雑誌のアルバム評ってホント当てにならない。
自分の気分だけで評価してんだから。
トレントだって音楽評論家はクソだと酷評してたしね。
なかにはアルバムの曲聞かないで、評論するやつもいるそうですから。
みなさんもあんまり音楽雑誌等の批評は当てにしないほうがいいと思います。
大事なのは自分の耳で、いいと思ったその感性なんですから。

2008/03/05

頑張れ!


今日、北海道は公立高校入試の日。
生徒達の激励に、朝早く受験校へと行ってきました。
と、いっても自分の母校だったので、
妙になつかしさが。
大学に入ってから行ってないから、
考えてみれば、5年以上も高校に行ってないんだあ。
時の流れの速さにしばし茫然。

で、生徒は頑張ってきてくれました。
心細かったのか、わたしの顔を見たとたん、
「先生~~!」っていいながら、抱きついてきた。
あんまり感情をあらわにする子じゃなかったので、
驚きつつも、うれしくもありました。

いまは大学、高校を含め受験シーズン。
みんな、それぞれ頑張っているんでしょうね。
志望校、合格できるといいですね。

とれんとさーん~~~

昨日書こうと思ったんですが、忙しくて。
明日の朝に備えて早く寝なければならなかったし。

実は昨日の3月4日、かねてから噂されていたNINのニュー・アルバムがリリースされました。
↑の写真ですね。
26曲入りの全インスト・アルバムなんですが、
トレントが予告していた通り、 ネットでの販売となっております。
Ghosts - Splashから、どうぞ。
ちなみに、このサイトから無料で9曲ダウンロードできます。
わたしは速攻でダウンロードしました。

トレントは以前からレディへのようなネット販売を希望していたので、
遠からず実現するだろうなと思っていましたが、
でも、日本人のわたしにはちとつらいなー。
だってね、恥ずかしながら、アメリカで使えるクレジット・カードを持っていないのよ(激汗)。
だから、買いたくても買えない(涙)。
で、今週中にmaster cardを作ることに決めました。 早速手続を始めています。

でも、例の300ドルのトレントのサインつき、限定アルバムはもう売り切れたみたいです。

って、おい! もう売り切れたんかい! てか、すごく高いでしょ?
300ドルだよ! 日本円にしたら約32000円でしょ? いったい誰が買うの?
熱心なファンがいるもんだねえ~~。

とかいいながら、自分も買おうと思ってたのに・・・(涙)

え~~~???? 売り切れ~~~。そんな~~~、信じられなーい!!!
とれんとぉ~~~、お願いです。増産してください~~~!!!

てか、ネット限定販売って、日本人には不利すぎるなあ~。
なんといっても言葉のハンデがありすぎるし。
ファン思いのトレント様。日本人にも容易く購入できるようお願いします~~~。

追記:すんません。↑で「26」曲と書きましたが、「36」曲のまちがいでした(汗)。
   なにやってんでしょうか、私は…。ただのアホです。

2008/03/03

しばっちょ、仕事復帰おめでとう

アンタッチャブル柴田英嗣、病気療養から3か月ぶり復帰


しばっちょ、いよいよ仕事再開!
キレのあるツッコミ、楽しみにしてます。
あと、シカマンもね。

アンタッチャブル柴田英嗣の平穏な僕

2008/03/02

GOTHとは何か⑤~マリリン・マンソンの憂鬱



しばらくやっていなかったGOTH特集ですが、
少し書き忘れていたこともあり、ここら辺でもう一度復活させようかと。

ゴシック・ロックは1980年代初期にイギリスで全盛期を迎えましたが、
あっとういまに衰退し、80年代後半にはほとんどイギリスでは見られなくなりました。

しかし、1990年半ばにはいってGOTHはふたたび復活します。
イギリスではなく、アメリカにおいて。
1980年代半ばから90年代初頭にかけて、
イギリスにおいて衰退したgoth文化は、アメリカへと渡り
そこでふたたび全盛期を迎えます。
マリリン・マンソンの登場です。

もちろんマリマンはいきなり登場したわけではありません。
そこにはいくつか萌芽があります。
NINのデヴューやスマパンのゴス文化への傾倒、
そして、the cureのアメリカ本国での成功と
ティム・バートン監督の『シザーハンズ』の上映など
ゴシック文化が花開く要素はさまざまに存在しました。
そして、そうした要素をすべて吸収し、
独自の解釈で、アメリカでgothを根付かせたのは
マリリン・マンソンだと思うのです。

マリリン・マンソンはひじょうに厳格な家庭に育ったようです。
カトリックの学校に通っていたというから、
ひじょうに宗教的な家庭環境で育ったのでしょう。
しかし、幼い頃の彼にとってはそれは抑圧でしかなかったようです。
カトリック系の学校に行くようになってからは
カトリックの教義が欺瞞にしか感じられなくなった。
その辺りからカトリックを初めとするキリスト教全体に憎悪を抱くようになります。
これはひじょうに重要です。

アメリカにおいてキリスト教、特にプロテスタントの教義というのは
今でも強い影響力を持っています。
あの合理的なアメリカ人が、まだ宗教を信じているの?
と驚かれる方も多いと思いますが、
アメリカ人の4割は進化論を信じていないというように、
ひじょうに信心の熱い人が多いのです。
教会に行く人口もヨーロッパよりも多いです。
あのブッシュ大統領ですら聖書を信じているし、
また牧師の力も強いです。選挙の票を動かすほどの影響力を持っています。
ブッシュが当選したその裏側には、
プロテスタント系の教会の強い後押しがあったからといわれています。
しかし、別な見方をすれば、それだけ宗教の抑圧が強いともいえます。

そして、その教義への抑圧は、さまざまな若者、
またはアメリカ人自身の価値観をも支配しています。
アメリカ人というのは、実はあまり知識人を信じない傾向にあります。
逆に、知識を持ちすぎると『気取ったヒト』と見られ、あまり好かれません。
むしろあまり知識はないが、善良なヒトのほうが好まれます。
『フォレスト・ガンプ』の世界を思い浮かべていただければ分かるかと思います。
そのため、知識=芸術・文学に精通するヒトというのは『根暗なヒト』とみなされ、
逆に、知識はないけれども、健康的なヒト
(つまり、ハリウッドの学園映画に登場するアメフトをやってる金髪碧眼のマッチョ)
=『いいヒト』または『素朴だが、善良なヒト』とみなされやすい傾向にあります。
これを難しい言葉で「WASP的マチズモ」といいます。
要するに、頭はなくても健康的(=マッチョ)であれば
そちらのほうがより好まれるという風潮です。
これはアメリカ人の大部分の主要な価値観、
つまり「常識」としてまかり通っています(かなり乱暴な定義ですが)。

これに激しく噛み付いたのが、マリマンを初めとするGOTHなのです。
ゴス、ここでは黒装束をまとう人を意味するのですが、
彼らが黒のアイライナーを引き、黒い衣装を着るというのは、
単なるおしゃれやスタイルとしてではありません。
そこにはプロテスタンティズムを根底とする
WASP的マチズモに対する強い反発と強烈なアンチ・テーゼが潜んでいるのです。
いわゆる一つの主義として、そのような格好をするといったほうがいいでしょう。

マリリン・マンソンもまさにその延長上として登場しました。
彼は自らをアンチ・キリストにふんすることで、
アメリカ人が「良識」と考えている「価値観」に疑問を提示し、
その「価値観」が必ずしも正当ではないということを
暴露しようとしている。

↑のPVは、彼の主義をもっとも分かりやすい形で表していると思います。
ハリウッド映画が好きな人なら、
このPVがパロディとなっていることが分かるかと思いますが、
WASPと書いたチアガールが登場するように、
プロム・パーティーでのwaspたちの乱痴気騒ぎを
マリマンは、皮肉たっぷりに表現している。
自らをヒップ・ホップ・スターに扮し、
ゴスな女の子達とプールで戯れる姿は、
映画でもよく見られる光景ではないでしょうか。

このマリマンの強烈なヴィジュアルと扇情的な歌詞は、
学校内で疎外されている多くの若者達の心をとらえました。
しかし、マリマンは同時にキリスト教団体の激しい抗議運動にもあいました。
例の『コロンバイン事件』でのマリマンの歌が彼らの悪影響を与えたという批判は
もっとも典型的な批判の一つでしょう。

しかし、gothはアメリカで衰退することはありませんでした。
2000年代に入って新たな形で広まっています。
一つはevanessenceに代表されるゴス・メタルの興隆
もう一つは、emoムーブメントとして。
wasp的価値観の強烈なアンチ・テーゼとしてのgothは
アメリカではまだまだ需要があるようです。

2008/03/01

やっぱnew waveはすごいわ~~―buggles編―



保存したにもかかわらず、全部消えてしまったのでもう一度仕切りなおし。
何を書こうとしたのかというと、、

以前、80'S new waveのほうが
90's rockよりも音楽的に重要だったのではないか
と書きましたが、
どうしてそう思ったかというと、↑の曲を知ったからでした。
この曲は日本のCMにも使われていたので知っている方も多いと思います。
bugglesというイギリスのテクノ系バンドの『ラジオスターの悲劇』という曲です。
1979年にリリースされたこの曲は、たちまち世界中でヒットしました。
わたしがこの曲をはじめて知ったのは、
5年ほど前、まだ大学に入りたてのころで、
このときはduft punkなどのテクノ系のバンドにはまっていて、
そうした系統の音楽を発掘しているときに、偶然見つけたものでした。

で、聞いてみて超びっくり。
はっきりいって度肝を抜かれました。
だって、もろダフト・パンクなんだもん。

「ダフト・パンクじゃねーか~~~~!!!!」

と絶叫してしまいましたよ。
いや、bugglesがダフト・パンクをパクったからというのではなくて、
その逆で、ダフト・パンクがbugglesをパクってたという。
その事実に頭をかち割られるような衝撃を受けたというか。
当時、ダフト・パンクが新しいテクノ・ポップの開拓者みたいなことをいわれていただけに、
その衝撃もハンパじゃなくでかかったです。

いま改めて聞いてもまったく古びてない。
なんの違和感なく入っていける。
最近デヴューしたテクノ系のバンドの曲なんですよといわれても、
そのまま信じてしまいそうなぐらい。
このときのシンセってまだ発展途上だったから(ローランドですよね?)、
出せる音も少なくて、限界もあったと思うんだけれども、
音質をうまくつかんで、シンセの魅力を最大限に引き出していると思う。

またボーカルもすごくいいんだ、これが。
ボーカルにエフェクトをかけてあえて無機質にすることによって、
シンセの電子音とぴったりと合っている。
でも、だからといって機械的な冷たさはないんだよね。
むしろひじょうに温かみがあるというか。
女性のコーラスを入れることによって、
テクノ系にありがちな無機質さを緩和させているんだと思う。

クラフトワークとはアプローチが違ってる。
クラフトワークだとシンセを前衛的なものとして使っていたと思うんですけど、
トレバー・ホーンはさらに先を行って、
ポップ・ミュージックに応用できるのではないかと考えた。
そして、それがみごとうまくマッチし、成功したのではないかと。
以後80年代に入ってからの音楽が、
シンセ主流になったことを考えてもかなり革新的な意味合いを持っていたんでしょうね。
1979年当時としては、まさに「革命」だったのではないでしょうか。

ブロガーの調子が・・・

さっき一生懸命に書いてたのに、全部内容が消えちゃった。
なんか調子悪いみたいです、これ。
保存機能がぜんぜん働いていないみたいで。
いつもなら書いたものは自動的に保存されるのに…。
むっきゃー(のだめ調)。マジでむかつく。
また書き直しだよ~~~。