2007/08/17

《フジロック初参戦記'07》その2

その1の続き。
 
 慌てて自動改札機を潜り抜け、13番乗り場へと向かう。
 ホームに着くと、すげーたくさんの人が並んでる。
 もっと早くに並んでいればよかった。もしかしたら、座れないかも。と焦り気味に待つ。
 新幹線のドアが開く。前の乗客が動き、列に従って入口へと移動する。ぞろぞろと新幹線のなかに客が入ってゆく。窓側に座れるかななどと不安に思っていると、実際なかにはいったらたくさん空席があって、焦るまでのことはなかった。すぐに窓側の席を確保する。荷物は・・・、まあ隣の席に置けばいいや。
 座りたい人がいれば、荷物をよけて席をあければすむことだし・・・・。
さっき買った「crossbeat」をさっそく読むことにする。
「夏フェス特集」が組まれている。
ページをめくると、すぐにCUREの写真が! フジロックフェスの目玉はCUREだろう。って当然でしょ! これからすぐに彼らに会えるんだよう、と感慨もひとしお。興奮交じりに貪るように彼らの記事を読む。
 ふんふん、23年ぶりの来日ねえ。
そうだよ! 23年だよ! 自分、まったくリアルタイマーではない若いファンだけれども、23年前に見たファンから見たら本当に待ちに待った来日なんだろうな。自分もよもや日本で見られるとは思ってなかったし・・・。
 日本ではまったく人気も、知名度もないからねえ。いったい、どうしてこんなことになったんだろう? 
 CURE見に行くんですよおっていったら、CUREって誰って言われちゃう始末だし(激汗)・・・。
V系ってほとんど彼らの影響を受けてるのにねえ。
ラルクの「DIVE TO BLUE」は「just like heaven」のパクリだしさあ。
どうして本家を知らない? だからといって、変に日本にこびられてもいやだけれども・・・。
なんかCUREっていうか、ロバには絶対に日本にこびてもらいたくはない。売れなくなってしまって、日本の80’S好きの人しか相手にされなくなって、のこのこ金のために来日してくるのはいやだ。そういう外タレはけっこう多い。まあ、CUREは欧米のフェスでは常にヘッドライナーをつとめる大御所バンドだから、そんなことはないんだけどさ。
でも、ロバにだけはそういう人になってもらいたくはないんだな。ファンの人たちはみんなロバの日本嫌いを嘆くけど、わたしから見たらロバの日本嫌いはすごく納得できる。
いかにも繊細そうな人だし、自分と明らかに異質なものを容易に受け入れられないんだろうな・・・。飛行機、嫌いだっていうし・・・。でも、そういうロバでもいいじゃん。そっちのほうがロバらしいよ。とわたしは思う。そんなわたしはCUREファン失格だろうか。
雑誌を読みながら、CUREの偉業を確かめる。
本当にCUREってアメリカの音楽シーンに影響与えまくりなんだな。もし、彼らがいなかったら、アメリカの現在の音楽シーンは存在さえもしていなかったかもしれない。
もちろんマリマンも、トレントも、スマパンも。KORN、デフトーンズや、TOOLみたいなラウド/ヘヴィロックや、RAPTUREやINTERPORL、HOT HOT HEATのニューウェイヴ・リバイバル組や、FALL OUT BOYやマイケミなどのエモ勢まで。猫も杓子もCUREをフェイバリットアーティストに上げて、しかもあのレディへのトム・ヨークやレッチリのジョン・フルシアンテみたいな大御所までファンだって言うんだからなあ。
本当にすごいバンドなんだね。ロバート・スミスは本当の意味での天才なんだ・・・。そして、そのロバに今夜会えるんだ・・・。また期待が膨らむ・・・。絶対a forestは歌ってもらいたい。
予定の10時36分を3分ほど遅れて発車。
やっぱり、新幹線。速い、速い。
窓の景色を眺める。どこもかしこも田んぼだらけ。やっぱりここは日本一の米どころなんだなと実感する。
デジカメを取り出し、田んぼの風景を写真に収める。本当にすごい。一面みどりの田んぼだらけ。地平線の向こうまで田んぼが続いている。
何枚か写真にとって、再び視線を雑誌に戻す。
サイケアルバムに「Disintegration」ねえ。
しかも、暗黒ってなに? CUREには偏見が多いと自分で言っておきながら、その偏見を作ってるのはあんたたちじゃねえかと憤る。
こういう中途半端な認識しかない輩がいるから、CUREへの偏見は消えず、日本での人気も根付かないんじゃん。と、ため息をつく。
いまにはじまったことじゃないしねえ。
ま、今日、実際に彼らを見たら偏見も消えると思うし。いいや、それに目的はあくまでも今日伝説を眼にすること。まあ、大目に見ようじゃないか。
最近「crossbeat」にはCUREの記事さえ載っていなかったんだから。ニューウェイヴ・リバイバルのおかげで、彼らが再評価されているのはいいことだ。
鷹揚な気持ちで読むことにする。
直前に地震があってどうなることかと思ったけれども、不思議と地震の痕跡を示すものはどこにもない。景色はいたって普通で、新潟駅周辺も地震によって崩壊した建物などはなかった。途中停車した長岡も新潟とほぼ変わらず。ただ長岡から出ている柏崎行きのJRだけはまだ不通のようだ。アナウンスで代替バスを出すと言っている。
いちばん被害が大きいのは、報道されたとおり柏崎周辺のみのようだ。フェス会場では義援金を募っているようだから、寄付してこようと決心する。
長岡を発車して、燕三条駅へとつく。あともう少しで越後湯沢だ。
雑誌で知ったのだが、越後湯沢は川端康成の「雪国」の舞台になった場所だ。ロバって確か「雪国」読んだことがあるらしいけれども、知っているのかなあ。
川端の描写どおり、越後湯沢につくまでの間、恐ろしいほど長いトンネルが続く。
いったいどこまで続くのか。なんか奇妙な感じ。これほど長くトンネルのなかに電車が入っているのを体験するのは初めてのような気がする。一回トンネルを抜けて、外の景色が現れるものの、すぐにまたトンネル。今度のトンネルもかなり長い・・・。
いったいいつまで続くのか・・・。
 ようやく長いトンネルを抜けて、アナウンスが流れる。
「もうすぐ越後湯沢駅の到着です」
新幹線が止まる。おおおっ、到着だ。
荷物を持って駅に降りる。
うーん。同じ地にロバも足を踏んでいるのか・・・。へんな感動が沸いてくる。
本当に信じられんなあ。西の果ての国と極東の島国とまったく対極の場所に住んでいる人間が同じ土地を共有するっていうのは、なかなかすごいことだぞ。
 ホームに下りて、エスカレーターで下へと降りる。コンクリートむき出しの通路が続く。すごく殺風景で変。通路を抜けて自動改札機で改札を済ませ、駅構内へ。
 駅にはいくつもフジロックの旗がかかっている。わたしの前には、明らかにこれから会場に向かうであろう若い男女がたくさん歩いている。
 とうとうここまで来たんだと再び興奮で胸が膨らむ。
 しかし、そのまえに荷物は宿に預けておいたほうがいい。でも、チェックインするのは4時って伝えちゃったからなあ。迎えに来てくれるだろうか?
 不安に思いつつも、宿に電話をかける。
 「本日泊まる予定の者なんですが・・・。迎えに来てくれないでしょうか? もう着いちゃったんですけど・・・・」
 いいですよとの返事。よかった。これで安心して会場入りできるや。指定された場所へと向かい、迎えの車を待つ。
すごい、会場行きのシャトルバスを待つ人で一杯で、列を作って待っている。こりゃ、会場入りするまで最低でも一時間はかかるぞ。
そう思いながら、車を探す。なかなか見つからない。
場所を間違えたかと不安になる。駅を外れて別に駐車場へと向かう。
やっぱりいない。
もう一度駅の駐車場へと戻る。車が止まっている。よかった。
迎えに来てくれた宿の人と合流して、車に乗り込む。
宿は越後湯沢駅よりもかなり離れている。車で15分とはいっていたけれども、けっこう遠いな。石打スキー場付近って書いてたけれども、苗場よりも遠いのだろうか。
などと思いながらも、初めて眼にする越後湯沢の景色を堪能する。
すげえな。土地さえあれば米を作っているって感じ。橋の下の小さな土地から、空き地みたいなところまで、いたるところが田んぼ。信じられないようなところが水田になっている。どんなに小さく、狭い場所でも、とにかく土地が開いていれば、水田。
すごいな。確かこの地域って魚沼だから、おお。魚沼産コシヒカリの産地じゃん。
すっげー、おいしい米が食えるぞと勝手に期待。
本州に来ると必ず実感するのが道路の狭さだが、今回はあまり気にならなかった。どうしてかな。やっぱ田舎だからかな。でも、修学旅行で奈良に行った時の道路の狭さにははっきりいって死ぬほど驚いたけどなあ。タイヤのすぐ横が田んぼなんだもん。しかし、今回はそういうことはなかった。
けっこう道路、幅があるんだな。
宿までの道のりはけっこう複雑で、はっきりいって自力では辿り着けない(汗)。
おそらく地図を携帯しても。うん、やっぱり複雑なんだね。
いろいろ道を曲がりくねったりして、宿に到着。すぐ近くにスキー場がある。
やっぱりここは日本でも有数のスキー場なんだ。
宿はホント「ロッジ」という名前のとおり、普通の家。つまりロッジだね。
あんまりきれいじゃないし。まあ、いいや。6500円だし。素泊まりするだけだから。
でも、夕食込みにしてあるんだよな。たぶん夕食食べれない。どうしよう。
ロビーにてチェックインをする。
今日はどういう予定で?
と尋ねられたので、フジロックに行くんですというと、
「あー、そういうことねえ」と納得される。
女の子一人で、しかも夕食込みの泊まりだから、失恋旅行かなって思っていたんですよみたいなことを言われる。思わず苦笑。ぜんぜん違うんだけれどもね。
すべて納得した宿主さんは、夕食どうします?と尋ねられる。向こうで済ませますよね?
「ええ」と答える。
じゃあ夕食抜きにしますね。ありがたい。これで夕食の問題はクリアだ。
すぐに会場に行きますかといわれたので、そうすることにする。部屋に案内してもらって、持ってゆく荷物をもう一度確認する。薬と虫除けスプレー。手ぬぐいはどうしよう? 
ハンドタオルを持ってゆくからいいかと持っていかないことにする。
用意を完全に整えて、ロビーへ。車はすでに用意されていてすぐに乗り込む。
他の人はもうすでに会場入りしたんですよと宿の人の話を聞きながら、再び越後湯沢へと向かう。
天気がすごくいい。毎年必ず雨が降るというのに、今日はまったく雨の降る気配はない。
これもわたしのCUREへの思いが通じたのか。晴天で彼らを見れるのは、まったく幸運なことだ。わたしの神通力と、ロバの運が重なったんだろうということにしよう。
去年のフェスはけっこうさんざんだったらしい。
車中、宿の人からの話を聞く。雨に降られてバスに乗れずに歩いて帰ったらしい。
ひええぇぇぇ―――。今日はそういうことはありませんように。
そう祈りつつ、再び越後湯沢駅に到着。
フェスが終わったら電話をください。また迎えに来ますからと宿の人の優しい気遣いに感謝する。いい人だな。フェスのこともよく知ってるみたいだし。遠慮なくご好意に甘えることにする。
いざ、出陣だ! と気持ちを新たにシャトルバスを待つ列の最後尾へと向かう。
うええ、駅の中だよ。
ここから待つのお? とまだ会場入りさえもしていないのに、少々うんざり気味のまま、指示に従い待つことにする。
けっこう若い子が多い。当たり前か。学生か、フリーターか時間に余裕のあるやつしか来れんよなあ、こんなとこ。しかも、意外なことに外人が多い。へええ、外人もフジロックに来るんだあ。変な感動を覚えつつも、洋楽アーティスト中心のフェスだもんねえ、彼らから見たら洋楽アーティストのほうが邦楽アーティストよりも身近な存在だしね。
しかも、フェス文化も向こうが発祥。気軽な気持ちで来るんだろうな。
でも、今日の服装はちょっとやばいかなあ。一応おしゃれしてきたつもりだが、もっとおしゃれしてもよかったかなあと激しく後悔。それに、みんな長靴はいてる。やっぱ長靴はいてくればよかったかなあと、隣の子のカラフルで、可愛い長靴に思わず見入る。
しかし、よく注意してみるとみんなけっこう重装備。フジロック慣れしてる人は決して軽装ではない。ゴアテックスのトレッキングシューズに、リュック。うえはTシャツにジーパンまたは、カーゴパンツ。半ズボンの子もいる。さすがにスカートはいてる女の子はいないわな。驚くほど軽装な子もいるけれども。キャミに、ミニスカ、サンダルっていったい何しに行くんだあ。と思わず突っ込みをいれたくなる。
それにしても、なぜだか知らないが、MUSEのTシャツ着てる人率高し。
すっげー、MUSEってそんなに日本で人気があるんだ。
イギリスで人気あるのは知ってるけど。でも、アメリカではあんま人気ないんだよね(笑)。アメリカ行けば、CUREのサポートに回っちゃうし。欧州ではヘッドライナーやったりしてるみたいだけれども・・・。
だけれどもMUSE目当ての子からみれば、CUREってなにそれ? みたいな感じなんだろうなあ・・・(遠い眼)。2004年のCURIOSA・TOURでは一緒に回ってるのにね。
自分の後ろに並んでいる妙齢の女子三人組は明らかにMUSE目当て。うしろでいろいろとマットのことやら、MUSEの今年のフェスのことやら話してる。
うーん、マットってけっこう可愛い顔してるから、日本ではアイドル的な人気があるのかも。
自分もけっこう好みの顔だし(笑)。自分もMUSEのステージ初めてなんで興味あるしね。
などと思いつつも、太陽は容赦なく照り付けてくる。やっぱ、想像してたけど、本州の気候は厳しいぐらいに暑い。はっきりいって肌が痛いよ・・・。
このままだと日焼けすることは必須なので、リュックからパーカーを取り出し頭から被ることにする。でも、リュックをしょっているせいかなかなかうまく被れない。
格闘すること数十分。何とか被ることに成功し、さらに帽子をかぶることにする。これで日焼け対策は万全だろう。
暑いが、湿度はそれほど高くはないから、厚手のパーカーを着てもそれほど暑さは感じない。それでも、じりじりと肌を焦がす音が聞こえてきそうなほど太陽の光がまぶしい。
うーん、いったい何分待つんだろう。まだ自分の前には何列もあって、バスに乗るのはあと数十分後になるのは必須。けっこう一人で待つのは厳しいな。誰かと一緒に来ればよかったと少し後悔。ひとりでフェス行くのはぜんぜん大丈夫だけれども、でも、こういう待ち時間とか、無駄な時間を一人で過ごすってのは退屈だよな。話し相手がいれば、退屈さも紛れるんだが・・・。
でも、CURE見れるんならこれも試練と耐えられる。そう思い、じっと待つ。
10分、20分と辛抱強く待つ。時計を見るともう12時40分。うええ。約一時間待ってるのか。
ネットでシャトルバスに乗るのに一時間はかかるって書いてたけど、やっぱり本当だった。ネット見ててよかったかも。もし見てなかったら、いったい何分待つんだよおってキレてたかもなあ。

つづく。

musicians!!!

ミュージシャン・・・。洋楽・邦楽にかぎらず、音楽ファンなら誰しも憧れを抱く存在。
そのカリスマ性ゆえに、またそのスター性ゆえに、私たちは彼らを時には神のように崇めたり、
擬似恋愛の対称にしたりする。
しかし。
しかし!!! である。
ミュージシャン達の寿命は短い。
特に洋楽ミュージシャン達は恐ろしいまでのスピードで老化する。
まだ30代にもかかわらず、すでに40代に域に達しているミュージシャンはざらだ。
それでも、まだ体型を維持できているミュージシャンはましなほうだといえる。
老いとともに体系もまた驚くほど変化するミュージシャンは多い。
特に危ないのは40代。男性ミュージシャンは一気にメタボオヤジ化する。
一体なぜ?
逆にどうしたらこんなに劣化できるのか不思議なくらい。
やっぱ肉ばっか食ってるせいかなあ。
それとも特に見た目を気にしていないせいなのか。
いい音楽を作りさえすれば見た目などどうでもいいと思っているんだろうか。
昔「芸能人は歯が命」というCMが流行ったらしいが、
ミュージシャンだって「見た目は大事」だと思うのは私だけだろうか・・・。
少なくともkidsたちに夢を与える職業なんだから、少しぐらい見た目に気をつければいいのに・・・。
私の愛すべきミュージシャン達が、
見るも無残な姿に変わり果ててゆくのはちょっと悲しい気がするのだが・・・
(いや、めちゃくちゃ悲しいです・・・)。
ここでは、そんなミュージシャン達の今と昔(またはビフォア・アフター)を見て、
突っ込んでいこうというカテゴリです。コワいですよ、恐ろしいですよ、最近のホラー映画よりもコワいです(笑)。